標的110 ページ17
手のひらでタグを転がしながら、無言でチョーカーを視ていたザンザス。
しばらくして、唐突に口を開いた。
「これ、取れねぇと言ったな」
「う、うん……でも、何やっても全く傷すらつかなくて」
「だろうな」
え？
予想外の返答に、思わず顔を上げる。
ザンザスはその手を下ろし、厄介そうな目つきで息を吐いた。
「──雷の炎で、バカみてぇに硬化されてやがる。ペンチなんざ、切断すんのはまず無理だ」
「そんなぁ……！」
雷の、炎。
スクアーロの言ってた、炎の特性ってやつか……道理で硬すぎるわけだ。
「でも、それじゃどうしたら……」
「オレの炎で燃やしてもいい──その場合、テメェの首もろとも塵と化すがな」
「勘弁してぇ！！」
強行突破の代償がデカすぎるよ！！
ああもう……本当、なんでこんな目に……
「──大変そうだね♪」
刹那、背筋にぞくりと悪寒がはしる。
咄嗟に身構える私。
ザンザスは一歩たりとも姿勢を崩さぬまま、僅かに眉を寄せた。
確かに聞こえたその声は、どうやら自らの首元から響いているらしい。
直後、目の前に映し出された──見覚えのある姿。
「やぁAチャン、久しぶり！と言っても1日ぶりかぁ。元気してた？」
「……白蘭」
その男は相変わらず、屈託のない笑みを浮かべていた。
「せっかくのプレゼントをもう外したいなんて、傷つくなぁ──ああ、安心してよ。僕からそっちの様子は見えないし、位置情報も分からないからね」
こちらの警戒をよそに、ぺらぺらと軽い口調で話し続ける白蘭。
その体はホログラムで、投影元はなんと──例のチョーカーだ。
どんだけハイテクなんだ、これ……！？
動揺を悟られまいと、汗ばむ拳を握りしめる。
「何の、用だよ」
「んー？Aチャンどうしてるかな〜、って。君ってば、勝手にいなくなっちゃうんだもん。部屋から出ないでねって言ったのにさ」
「っ……お前が、騙してたんだろ……！」
私はザンザスがいることも忘れ、思わず声を荒げた。
苛立つ私と対照的に、白蘭は楽しそうに目を細める。
「アハハ、人聞き悪いなぁ！僕はただ、君を──」
「おい」
黙って聞いていたザンザスが、ついに口を開いた。
腹の奥に響く、ドスのきいた声。
白蘭の満面の笑みが、僅かに色を濁した。
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~！近いうちに続編公開するのでお待ちください！ (6月14日 12時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです！続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…！コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ！！！(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです！！ご馳走様です！！続き早く読みたいです！！おかわりください！！！！！ (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜！！^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…！ (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年11月29日 23時
