標的109 ページ16
そこには、なぜか半裸の男がひとり。
紛うことなき──10年後のザンザスの姿があった。
「(なんだこの時間。地獄か？)」
そんなことを思いながら、蛇に睨まれた蛙のようにその場に立ち尽くす。
昨日は結局顔を合わせる機会を逃し、こちらに来てからは初対面だ。
……いや。
逃した、というよりは──
「ここで何してる」
ようやく言葉を発したザンザスに、はっと我に返る。
一拍遅れて、この状況をどう説明したものかと、私は必死に思考を巡らせた。
「あの……ちょっと、探し物を……“これ”が取れなくて」
口ごもる私を、無言で見つめるザンザス。
……き、気まずい。
居ても立っても居られず、思わず視線を逸らす。
──なぜこんなにも緊張するのか。
原因ははっきりしていた。
……どう話せばいいのか、分からないんだ。
「来い」
相変わらずぶっきらぼうで、上から目線の命令口調。
軽く指だけで指図する仕草に、従う以外の選択肢はない。
私は腹を決め、部屋の中へと足を踏み入れた。
一歩一歩、進みながら考える。
……私は正直、彼のことをまだ分かりかねていた。
揺りかご当時から付き合いがあるみんなに比べれば、関係値が浅いのは当然だ。
もちろん、その強さとカリスマ性は本物だと思う。
けれど、あの雲戦の夜のボスの目が、どうしても頭に焼き付いて離れない。
争奪戦を経て、少しだけ腹を割れたと思った矢先──このタイムリープだ。
どう接すればいいのか、分かるはずもなかった。
「チッ。遠い」
「……こ、こう？」
ザンザスが何を考えているのか分からないまま、言われた通りさらに距離を詰める私。
なんなんだ……というか、とりあえず服着てくれボス。
どうやらシャワーを浴びていたらしい。つくづくタイミングが悪い。
色々な緊張で落ち着かない私をよそに、彼は何を思ったか、突然私の首筋に手を添えた。
「ッ！？ちょ、ボス、」
「うるせぇ。黙ってろ」
ひいいい！！傍若無人！！
「(うわぁんもうダメだぁ〜〜このままへし折られるんだ……ん？)」
絶望に打ちひしがれていたのもつかの間。
よく見れば、ボスの視線は私──ではなく、例のチョーカーへと注がれている。
……もしかして。
ボスなら、外せるかも……？
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~！近いうちに続編公開するのでお待ちください！ (6月14日 12時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです！続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…！コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ！！！(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです！！ご馳走様です！！続き早く読みたいです！！おかわりください！！！！！ (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜！！^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…！ (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年11月29日 23時
