標的108 ページ15
＊
「ここにもない、か……」
あれから数時間。
日本へ向かう前に、私はひとつ大きな“問題”が残っていたことを思い出した。
もう何室目か分からない部屋を後にし、深いため息を吐く。
肩を落とすと同時に、首元でゆらゆらと主張する
「……これ、いつまでつけてればいいんだよ……」
そう。皆様、お忘れではないだろうか。
──一向に外れる気配のないチョーカーに、私は未だ頭を悩ませていたのだった。
いや、本当に外れないんだこれ。まじで取れない。いい加減にしてほしい。
すでに発信機能はないにしても、敵──ましてやあんな奴からもらったものを、いつまでもつけているわけにいかないのだ。
それなのに。
「あと……どこ探してなかったかな」
引っ張ってもダメ切ってもダメ、炙っても、何をしても、傷ひとつつきやしない。
一体何の素材でできてるんだ、まったく……
とにかく、私は最後の望みを懸け、最強のペンチを求めて城の中を探し回っていたのだった。最強のペンチって何？
「(……ぶっちゃけもう諦めモードになってきたんだが)」
ほんの一瞬そんな思いがよぎり、慌てて首を振る。
いけないいけない。頑張れ自分。
まだ何か手はあるはずだ。
そう気を取り直し、私は次の部屋の扉に手を伸ばした。
──この城は広さの割に、人の数が圧倒的に少ない。
大抵の部屋には、誰もいないことがほとんどである。
ましてやここは敷地の奥。
一般の隊員はほとんど出払っており、ここに来るまでには誰とも遭遇することはなかった。
だから、次もきっとそうだろう、と。
そんな勝手な思い込みから、私は一応の雑なノックと共に、勢いよく扉を押し開けた。
「失礼しまー、」
──硬直。
最初に浮かんだのは、予想外の事態に対する混乱。
次いで、“やっちまった”と冷や汗が伝う。
いやそんなことはどうでもいいんだ。とりあえず──
「っ間違えまし、」
「待て」
背後から飛んできた、地を這うような低い声に、ドアノブにかけた手が動きを止めた。
……最悪だ。本当に最悪だ。よりによってなんで──
ギ、ギ、ギ、と軋みながら、恐る恐る振り返る。
「ど、どうもぉ……」
なんでいるんだよ、ボス……！！
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~！近いうちに続編公開するのでお待ちください！ (6月14日 12時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです！続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…！コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ！！！(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです！！ご馳走様です！！続き早く読みたいです！！おかわりください！！！！！ (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜！！^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…！ (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年11月29日 23時
