標的107 ページ14
「とにかく、オレはこのことを沢田たちに伝えねばならん。作戦決行は1週間後だからな」
「い、1週間！？」
突然突きつけられたリミットに、私は思わず声を上げた。
いくらなんでも急すぎるだろ……！
だって、この時代の戦い方すら、まだ──
「案ずるな。戦うかどうかは、あいつら自身が決めることだ」
ぴたり。
一瞬にして思考がクリアになる。
……そうだ。
どんな選択も、自分で決断しなきゃ意味がない。
ツナたちがどうするかは……まだ分からないけれど。
「私も行きます」
どちらを選ぼうと、私にできるのは──側で支えることだけだから。
「うむ、共に守護者の使命を果たすぞ！極限に、な！」
掲げた拳と拳を交わす。
(あ、やっぱりあのボクシング部主将だ)と、今になってようやく実感が湧いてきた。
「ゔぉい、そうと決まれば急げぇ。昨夜、かすかだが日本で新たなリングの反応があった」
「！それ、もしかして──黒曜？」
あぁ、とスクアーロが頷く。
……間違いない、クロームだ。
骸の言ってた通り、彼女もこの時代に──
そうと分かれば、ゆっくりなんてしていられない。
大空戦で、私を助けようとしてくれたクロームの姿が頭に浮かぶ。
「早く行かなきゃスクアーロ、私、」
「ゔぉおい！急げとは言ったが、焦るんじゃねぇ！ったく……いいか、出発は夜だ。明るい内は目立つからなぁ。それまでに準備しておけぇ」
以上、解散。
そう言い捨て、そのままドアノブに手をかけるスクアーロ。
「む。どこへ行く」
「あぁ？飯だ飯。お前と話してるとエネルギー使うぜ、ったく……」
「飯、だと──うおお、なんだかオレも腹が減ってきたぞ！極限に美味い肉はあるか！？」
「んなッ……！？ゔぉおい！図々しいぞぉ笹川ぁ！」
…………あ、朝から肉……？
廊下から響く彼らの声が、徐々に遠くなっていく。
取り残された私とルッスーリアは、無言のままぽかんと顔を見合わせた。
そして、たまらず同時に吹き出す。
「ふはっ、何あれ」
「もう、ふたりとも騒がしいんだから……アタシたちも行きましょ、Aちゃん」
……そういえば、私もお腹空いたな。
小さく頷いて、ルッスーリアの後を追う。
僅かに鳴いた腹の虫は誰に聞かれることなく、閉まる扉にかき消されたのだった。
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~！近いうちに続編公開するのでお待ちください！ (6月14日 12時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです！続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…！コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ！！！(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです！！ご馳走様です！！続き早く読みたいです！！おかわりください！！！！！ (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜！！^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…！ (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年11月29日 23時
