標的104 ページ11
倒れた炎が溶けたろうに沈み、辺りは一瞬にして闇に包まれた。
「オレが刺客ならどうする気だった、あぁ？」
反論の余地などない。
スクアーロが背後にいたことも気づかず、簡単に急所を取られ。
……今までならこんなこと、一度だってなかったのに。
「分かったらとっとと──」
「…………るよ」
怪訝な顔を浮かべたスクアーロ。
私は、下ろされかけた刃を握りしめ。
「ッ分かってるよ！」
ジク、と手のひらにはしる痛み。
分かってる。
──今の私じゃ何もできない。
この時代へ来てから、それは痛いほどに感じていた。
目の前には最大の倒すべき敵がいたのに。
骸やスクアーロの助けがなかったら、脱出することすらできなかっただろう。
己の無力さが、ただただもどかしくて。
気づけばこれまでの自分すら見失っていた。
「スクアーロの、言う通りだ……でも」
手の内から伝う血が、絨毯に染みを作っていく。
熱い、痛い、そして──“冷たい”。
でも、戦わなければならない理由がある。
諦めろと言われて「ハイそうですか」と引き下がるわけにはいかない。
ましてや何もせず、ただ守られてるなんて絶対ダメだ。
ミルフィオーレを……白蘭を、倒す。
ボンゴレの未来を取り戻して、元の過去へ帰る。
そのために必要なことももう分かっていた。
力がないのなら、力をつけるしかない。
私はもっと、もっともっと、
みんなと並んで戦えるくらいに──
「強くなりたい──！！」
刹那。
握りしめた拳を包み込んだ──“青い”炎。
じゅう、という血の蒸発する音に驚いて思わず手を離せば、炎は瞬く間に霧散していった。
呆然と手のひらを見つめて、顔を上げる。
「こ、これは……雨……？」
もう一度やってみようと力を込めるが、リングは沈黙したままだ。
自らの手と格闘する私を見下ろし、スクアーロが密かに息をもらす。
「お前──いや、」
「え？」
ガシガシと頭をかきながら、剣先に降りた霜を振り払うスクアーロ。
「覚悟のない奴をここに置いてはおけねぇと思ったんだが。そんだけの炎出せんなら……まぁ、及第点だぁ」
そう言って私の手を引くと、スクアーロは真っ直ぐにこちらを見据えて言った。
「ガキ扱いして、悪かった」
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~！近いうちに続編公開するのでお待ちください！ (6月14日 12時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです！続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…！コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ！！！(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです！！ご馳走様です！！続き早く読みたいです！！おかわりください！！！！！ (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜！！^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…！ (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年11月29日 23時
