標的34 ページ41
＊
争奪戦、4戦目の夜。
今宵の勝負は──雨。
スクアーロはすでに戦闘モードで、刺すような殺気を辺りにまき散らしている。
「……来たな」
そう呟くや否や、スクアーロは彼らの前に飛び出していった。
「ゔぉおいッ！！よく逃げ出さなかったなァ刀小僧！活け造りにしてやるぞぉお！！」
「そうはならないぜ、スクアーロ。オレがあんたをぶっ倒すからよ」
こちらの咆吼に、変形刀を抜いて不敵に笑う山本。
確か、時雨蒼燕流とか言ってたっけ。
……あいつ、バッターボックスに立った時と同じ顔してるな。
「皆様、お揃いですね」
「今宵の対決フィールドは校舎B棟です」
そんなことを考えながら、向こうの棟を見やる。
昨夜に引き続いての校舎……今度はどんなイカれた設備なんだ。
見計らったように現れたチェルベッロについて行こうとした、その時。
ふいにかけられた声に、私は足を止めた。
「おーい、A！」
「……山本？」
昇降口の上から彼らを見下ろす。
慌てる様子のツナたちをよそに、山本は声を張った。
「今夜の勝負、オレが勝ったらさ──こっち戻って来いよ！」
「…………は？」
思わず、間の抜けた声がもれる。
──一瞬、何を言ってるのか分からなかった。
暗がりでも分かる、屈託のない表情。
「(……いい加減にしてくれ)」
私は無言で背を向けた。
……戻って来い、なんて。
本気でそう思ってるのか。
バカなことを言うな。
私は元より、こっち側なんだ。
＊
「あり、行っちまった」
軽く頭をかいた山本に、オレは冷や汗を拭った。
「どうしたの山本、いきなりあんなこと……」
「いやー、ワンチャンあるかと思ったんだけどな！」
あまりの気楽さに、がくりと肩が落ちる。
ダメかー、と笑う山本に、オレもつられて頬が緩んだ。
なんか、山本らしいや。
B棟へ向かいながら、何も言わず消えていった後ろ姿が脳裏をよぎる。
……Aは、どう思ったんだろ。
正直オレ、Aが何を考えてるのか分からないよ。
でも……時折見せる表情は……すごく辛そうなんだ。
この1ヶ月、Aはいつも楽しそうだった。
それが嘘だったんだとしても……オレはまた、みんなで笑って過ごしたい。
それまでは絶対に負けられないんだ。
この戦いが終わったらきっと、Aだって──
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オウリ(プロフ) - ドクさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです…！更新頑張ります*¨̮* (11月1日 23時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - こういうのむちゃくちゃ好きです。更新頑張ってくださいね！（追記 ヴァリアー全員の株がむちゃくちゃ上がった。こういうの大好きです） (10月21日 18時) (レス) id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
俺夢ZUN(プロフ) - 初めまして！ 「私の鼓膜を返して･･････」のパワーワード最高すぎますw (2021年3月27日 20時) (レス) id: 6d2ad26137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年8月27日 16時
