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標的25 ページ32





「…………なんだよ、それ」


目の前に広がる光景にただ、そんな言葉がこぼれ落ちる。

──雷戦は、予想外の展開を繰り広げていた。
10年バズーカの2度撃ちで未来のランボと入れ替わった時はどうなるかと思ったけれど、それも時間切れ。

レヴィがリングを奪って終わる──はずだったのに。

「目の前で、大事な仲間を失ったら……」

トドメを刺そうとしたその瞬間、突如倒れた避雷針。
サーキットの外にオレンジ色の炎が灯る。


「──死んでも死にきれねぇ」


死ぬ気の炎をまとったツナは、今まで見たことのない表情をしていた。


「なるほど。熱伝導か」
「でも聞いてなかったぜ、あんな奴がいるなんて」

普段の彼とはまるで別人のその姿。
だけど。

「ボンゴレリングだとか、時期ボスの座だとか……そんなもののためにオレは戦えない。でも友達が……仲間が傷つくのは嫌なんだ!!」

……やっぱり、ひとつも変わっちゃいない。

何よりも第一に仲間を助ける。
優しくて、友達想いで……甘すぎる。

それが──私が見てきた、沢田綱吉という人物だった。


「ほざくな」


突如降ってきたその声に、はっと顔をあげる。
刹那、背後で響いた鈍い衝撃音。

「ぐ……うぅ」
「10代目!」

ツナの炎が消える。
給水塔の上、目を凝らしたそこには。

「あれは……ザンザス!」

私たちのボスが、こちらを見下ろすように佇んでいた。

「……なんだその目は。まさかお前、本気でオレを倒して後継者になれると思ってんのか?」

たった数日前。
初めて会った時とは違い、正面から睨み返したツナに、ザンザスの殺気が一層強くなる。

「そんなことは思ってないよ……オレはただ、この戦いで仲間を誰ひとり失いたくないんだ!!」


──ぷつり。

ボスの中で、何かがきれる音がした。


生まれながらにボンゴレを継ぐ資格──ザンザスが手に入れられなかったものを持つツナ。
その当人が“仲間を失いたくない”などとのたまっている。

何よりその生ぬるい考え方は、まるで瓜二つだった。

彼が死ぬほど憎む相手──ボンゴレ9代目に。

「そうか……テメェ……!!」

ザンザスの手に再び光が灯る。
先程よりさらに大きい、憤怒の炎。

「ザンザス様いけません!ここで手を挙げては、リング争奪戦の意味が……拳をお収めください!」
「うっせぇ!!」


──思えば。
このときからすでに、私は。


「!?おいッ、待て──」


もう戻れないところまで、来てしまっていたのかもしれない。

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オウリ(プロフ) - ドクさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです…!更新頑張ります*¨̮* (11月1日 23時) (レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - こういうのむちゃくちゃ好きです。更新頑張ってくださいね!(追記 ヴァリアー全員の株がむちゃくちゃ上がった。こういうの大好きです) (10月21日 18時) (レス) id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
俺夢ZUN(プロフ) - 初めまして! 「私の鼓膜を返して・・・・・・」のパワーワード最高すぎますw (2021年3月27日 20時) (レス) id: 6d2ad26137 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:オウリ | 作成日時:2020年8月27日 16時

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