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標的17 ページ24

「──おい」

ドスの効いた声が響く。
顔を上げれば、暗闇に浮かぶ真紅がこちらを捉えていた。

……今行くよ、ボス。

「じゃあね」
「あ……」

冷たい私の声に、もう一度腕をもたげるツナ。
けれど、その手は今度こそ空を切った。

「……お待たせ」
「ハッ、別れ話は済んだかぁ」

スクアーロの悪どい笑みを一瞥し、モスカから隊服を受け取る。
この前ぶっ飛ばされたの忘れてないからな、アホ隊長。

久しぶりのそれに腕を通すと、一瞬、慣れた鉄の匂いが鼻孔を掠めた。

「ほら、もう行こう」
「お前待ちだっつーの」

呆れるベルを横目に、くるりと背を向け歩き出す。
乾いた風の中、私たちは闇へと姿を消した。







ヴァリアーが去っていった、その後。

混沌とした空気の中、オレたちはひとまず帰路に着いていた。
上手く状況を飲み込めず、何を話せばいいのか分からない。

……何より、ショックだったのは。

「あいつ、ハナっからオレらのこと……!」

許せねぇ、と拳を握る獄寺。

「スパイだったんだな」
「リボーン、何か知ってんの?」

マフィア関係はこいつが一番詳しそうだ。
……けれど。

「ヴァリアーには謎が多いんだ。内部情報は少ねーし、幹部のひとりは正体すら不明だったが……まさか、あいつがそうだったとは」

再びの沈黙が満ちる。
ふいに「なぁツナ、」と山本が呟いた。

「なんであん時、Aのリングをそのままにしたんだ?」
「そうっスよ!あいつを守護者にしておく必要なんて……!」
「え、えっと……」

獄寺君の言ってることはもっともだ。
……でも。

「なんていうか、うまく言えないけど……Aじゃなきゃダメなのかなって……オレ、どうしてもAが悪い奴だって思えないんだ」
「甘ぇぞツナ。お前が見てきたのは、あいつの演技なんだ」
「分かってるよ!でも……本当に、全部嘘だったのかな……」

「ハハッ。同感だぜ、ツナ」

突然の笑い声に顔を上げる。
そこにいたのは紛れもなく、いつも通りの山本だった。

「スパイとかはよく分かんねーけど、あんな楽しそうに野球やってたのがフリなわけねぇって!」
「んなっ……!こんな時まで野球バカかよ!!」
「山本……」

Aのこと、信じてるんだ。
部員が増えたって喜んでたもんな。

……オレだって、Aが敵だなんて思いたくないよ……

最悪の展開に、ぐるぐると目眩がする。
届かなかった手のひらを見つめながら、オレはまた何度目かのため息を吐いた。

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オウリ(プロフ) - ドクさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです…!更新頑張ります*¨̮* (11月1日 23時) (レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - こういうのむちゃくちゃ好きです。更新頑張ってくださいね!(追記 ヴァリアー全員の株がむちゃくちゃ上がった。こういうの大好きです) (10月21日 18時) (レス) id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
俺夢ZUN(プロフ) - 初めまして! 「私の鼓膜を返して・・・・・・」のパワーワード最高すぎますw (2021年3月27日 20時) (レス) id: 6d2ad26137 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:オウリ | 作成日時:2020年8月27日 16時

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