標的12 ページ19
＊
──あれから3日。
ヴァリアーを迎え撃つため、ツナたちは日々特訓に励んでいる。
私は変わらず、彼らの監視を続けていた。
「……ん、」
ふと、聞き慣れた着信音で目を覚ます。
……朝か。
画面に表示された
スクアーロがイタリアの本部へリングを持ち帰って数日、ようやく新たな指示が来たらしい。
おもむろに通信を取る。
「あー、こちらAで──」
「ゔぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛い゛！！！！」
「うるせェェェェ！！！！」
私はたまらず、通信機をぶん投げた。
「ゔぉい聞いてんのかぁ！！」
「かえして……私の鼓膜をかえして……」
激しい耳鳴りにめまいすら感じながら、恐る恐る端末を拾い上げる。
スクアーロの声はいつもに増して怒りを含んでいるようだ。
「はぁ……なに、気づいたの？」
「なッ！テメェ、あれがフェイクだと知ってやがったのか！！なぜ報告しなかったぁ！！」
「仕方ないでしょ」
バレるのが早すぎると、逆に内通者を疑われる可能性がある、と。
それには反論出来なかったのか。
しばらくの間の後、返ってきたのは盛大な舌打ちだけだった。
続いて「貸せよッ」という別の声が飛ぶ。
「よーぉA、久しぶりじゃん？中坊共とよろしくやってる？」
「ベル！そっちこそ、マーモンとケンカしてない？」
ししし、という特徴的な笑い方。
あいつら仲がいいんだか悪いんだか。
「そーだ、どっかのバカ隊長がミスったおかげで、オレらもそっち行くことんなったから」
「ゔぉおい！！バカとはなんだぁ、ベルゥ！！」
「チッ。ボスにボコられたからってキレんな、よッ」
鋭い何かが空をきる音。
……通話の向こうが騒がしい。
次第に雑音が激しくなる。
またケンカ(という名の殺し合い)が始まったらしい。
「はぁいAちゃん。聞こえてる？」
「！ルッス姐……！」
唐突に聞こえた女性口調にほっと胸を撫で下ろす。
ルッスーリアは凶器が飛び交うのも気に留めず、普段通りのトーンで続けた。
「今聞いた通り、これからアタシたちも日本へ向かうわ。詳しいことは着いてから連絡するわね」
「了解。気を付けて」
名残惜しくもそう告げ、スピーカー越しの騒音を断ち切る。
みんな、明日の夜には到着するだろう。
そしてボンゴレリングを奪って……私の任務もようやく終了だ。
……最後にあいつらの顔でも見ておくか。
そんな気まぐれに、私はこの1ヶ月を共にした制服を羽織った。
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オウリ(プロフ) - ドクさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです…！更新頑張ります*¨̮* (11月1日 23時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - こういうのむちゃくちゃ好きです。更新頑張ってくださいね！（追記 ヴァリアー全員の株がむちゃくちゃ上がった。こういうの大好きです） (10月21日 18時) (レス) id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
俺夢ZUN(プロフ) - 初めまして！ 「私の鼓膜を返して･･････」のパワーワード最高すぎますw (2021年3月27日 20時) (レス) id: 6d2ad26137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年8月27日 16時
