標的5 ページ12
「で。お前はいつまでそうしてんだ?」
耳元で聞こえた声に、私はようやく目を開けた。
「……バレてた?」
「あたりめーだろ」
……ひとり、起きてたのか!?と驚いている奴を除いては。
「初めまして、ディーノさん」
「ああ。お前がAだな」
よろしく、と握手を交わす。
同盟ファミリーのボスだが、随分とツナに入れ込んでいるらしい。
……うちのボスが正式に10代目となった暁には、ファミリーもろとも──
「お前もあいつにやられたんだよな。大丈夫か?」
「……ご心配なく」
こちらを気遣うディーノに、私は満面の笑みを返した。
大声バカのことは思い出させないで欲しい。あいつ、許さん。
そんな私の内心など知る由もないディーノ。
どこまでお人好しなのか、彼はどこかツナに似た面持ちで「そっか」と笑った。
「それはそうと、あー……今ここで聞いた話はだな、」
「?なんか、リングとか家宝とか……最近のマフィアごっこって、結構本格的なんですね」
私の言葉に、リボーンとディーノが顔を見合わせる。
……一応、私は何も知らないことになってるんだ。
山本並にすっとぼけてみたけど……さすがに無理があったかな──
「ま、まぁ、そんなとこだ!他の奴らには内緒な!」
あ、大丈夫だ。よかった。
「それじゃ、オレたちはそろそろ行くぜ。お前もその点滴が終わったら、帰って大丈夫だからな」
「じゃーなA」
「はい。ありがとうございました」
それから間もなくして、彼らは病室を後にした。
ふたりの背に手を振り、ようやく一息つけると思った、その時。
「──そうだ。分かっちゃいるだろうが」
ふいに足を止めたリボーンに、どきりと身体が強ばる。
ここから彼の表情は見えない。
「ツナは、お前を信頼してるぞ」
リボーンはそれだけを残して、病室を後にした。
「…………そりゃどーも」
無意識に鳴らした舌打ちが行き場なく消える。
あの赤ん坊……いつも何を考えているのか分からない。
信頼?当たり前だ。
そうなるようにこの1ヶ月、振る舞ってきたんだから。
……注意しないと。
──ここまで来て、正体を晒すわけにはいかないんだ。
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オウリ(プロフ) - ドクさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです…!更新頑張ります*¨̮* (11月1日 23時) (レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - こういうのむちゃくちゃ好きです。更新頑張ってくださいね!(追記 ヴァリアー全員の株がむちゃくちゃ上がった。こういうの大好きです) (10月21日 18時) (レス) id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
俺夢ZUN(プロフ) - 初めまして! 「私の鼓膜を返して・・・・・・」のパワーワード最高すぎますw (2021年3月27日 20時) (レス) id: 6d2ad26137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オウリ | 作成日時:2020年8月27日 16時