標的4 ページ11
「(な……なんのつもりだよ、スクアーロ……！？)」
左腕の義手に括り付けられた剣が重くのしかかる。
状況は理解できないが、ひとまずこの一太刀を払うしかない。
「A！」
「いけません！お逃げください！」
辺りに響くツナたちの声。
私の視線が一瞬ずれたのを、スクアーロは見逃さなかった。
「ゔぉおい！！よそ見してんじゃねーぞぉ！！」
「っ……くッ！」
容赦ない剣戟をすんでのところで捌きながら、頭の片隅で考える。
私たちが戦う意味はない。
だって、ハナから仲間なんだもの。
戦闘を演じる作戦なのか？
けど、これは、
これは演技なんかじゃ──
交えた刃の奥、スクアーロの目が好戦的に光る。
まずい、と思った時には、もう遅かった。
「ッあ゛──！！」
一際大きく響いた金属音。
全身を、強く殴られたような衝撃。
──“
硬直した身体で、辛うじて視線だけを動かす。
霞む視界の中、スクアーロの口元が歪むのを見た。
「がッ！！」
直後、腹にめり込んだその踵。
吹き飛ばされた先、ガラスのショーウィンドウが粉々に砕け散る。
「……ぃ゛……ってぇ……」
なんなんだよ、もう……！！
困惑と苛立ちが募るも、指一体すら動かない。
こんな技、任務だって滅多に使わないのに……
説明くらいしろ、この大声バカ──
次第に思考回路が鈍っていく。
麻痺した体は、鉛のように重たい。
まぶたの落ちる直前、遠くで一発の銃声が聞こえた。
＊
「──ひいいぃ何それ！！ロン毛の人、持ってってくれてよかったぁ〜！」
「それがなぁ、ツナ……ここにあるんだ」
…………ツナと、リボーンと……
この声は……跳ね馬？
あの後、意識を失った私は、門外顧問の少年とともに病院へ運び込まれたらしかった。
彼らの会話を聞くに、彼は日本へリングを届けに来る途中、スクアーロと戦闘になったとか。
そして──本物は、ここにあると。
スクアーロが持ち帰ったのは、どうやら偽物だったようだ。
ざまみろバーカ！思い切り蹴飛ばしやがって！
「いいかツナ。この10日間でみっちり鍛えて、ヴァリアーを……」
「ちょ、ストーップ！お、オレ帰って補習の勉強しなきゃ！それじゃっ」
バタバタと足音が遠くなっていく。
……ツナは相変わらずだな。
リボーンもムチャを言う。
迎え撃つ？たった10日で？
ヴァリアーをなめてるのか。
私は眠ったフリを続けながら、そんな悪態を呑み込んだ。
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オウリ(プロフ) - ドクさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです…！更新頑張ります*¨̮* (11月1日 23時) (
レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - こういうのむちゃくちゃ好きです。更新頑張ってくださいね！（追記 ヴァリアー全員の株がむちゃくちゃ上がった。こういうの大好きです） (10月21日 18時) (レス) id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
俺夢ZUN(プロフ) - 初めまして！ 「私の鼓膜を返して･･････」のパワーワード最高すぎますw (2021年3月27日 20時) (レス) id: 6d2ad26137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オウリ | 作成日時：2020年8月27日 16時
