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11月の冬はなかなか厳しかった。
寒さではなく、もっと別のもの。
私が入学して使っているアトリエは、最初こそ学籍番号の近い人とシェアして使用していたが、いつも間にかその人たちは別のアトリエで作業するようになった。
そこから私に対する目線は、なんとなく居心地の悪いものに変化した。
去年の年末からギャラリーと契約し、マネージャーのような人が付くようになった。
村上さんという関西の方だ。
卒業したら本格的に私の活動をマネジメントしたいらしい。
いろいろ大人の事情が絡まっているのは分かっているけれど、分かりたくなかった。
「…だからってこんな絵しか描けなくなるのは違うだろ私……」
次のコンクールに出展する絵。
なんとなく構想をスケッチブックに書いてみたり、なんならぶっつけで書いたりしようかななんて。
ぶっつけで描いたのがこの前の学祭の末路である。
学祭が終わったあと、私は校内を歩いていて色んな声を聞いた。
ー「Aさん、前の絵の方が良かった」
「なんであんな色使い…」
「スランプかな」
「あれほど期待されてたのになんかがっかり」
知ってる。
そんなの私がいちばん知ってる。
けれど、褒めてくれた。
初めて矢花と話した時の記憶がだんだん戻ってきて、
綺麗だった、とまっすぐ私の目を見て言う彼がお世辞を言っているようには思えなくて。
バナさん、どんな目で表情で、私の絵を見てくれたんだろう。
「…いかんいかん、描かねば」
私は起き上がって、キャンバスの前に座ってにらめっこを再開した。
いつも通り講義室に入ると、チラチラと目線を感じる。
後ろの方の席に座って、ノートとペンを取り出す。
この科目は必履であまり面白いものじゃないから
適当に構想を練ろう。
思いつきでノートにペンを走らせていると、ヒソヒソと声が聞こえてきた。
所々しか聞こえないが、多分後ろの子達が私の事について馬鹿にするような話をしている。
「〜ね、ウケる」
「それな、キモイっつの」
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作者名：雪 | 作成日時：2022年9月24日 0時
