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矢花の部屋は「祭りの後」状態だった。
「…矢花大変だね」
机の上に散乱する食べ物や空き缶、床に転がる酒瓶。
それを避けながら歩いて、矢花はすぐスピーカーを弄って音楽を流し始めた。
クリスマスソングという訳では無いけど、ちょうど流れ出した曲はRed Hot Chili Peppersのsnowだった。
「あの椅子座って、床は汚いから…」
申し訳なさそうに親指で指す方には、デスクトップとキーボードがある机。
そして座りやすそうなチェアがあった。その隣には所狭しとギター、ベース、電子ドラムが並べられている。
そういえば、矢花の家にお邪魔するのは初めてだ。
如何にも矢花黎の部屋という感じで、予想どうりである。
「…矢花って何処で寝てるの？」
「んー、このソファ。」
ローテーブルに沿って置いてる、ベッドにもなりそうなソファ。
「え、身体痛めない？」
「まあ慣れよ慣れ…って座るの？？俺いつも寝てるんだけど大丈夫？」
普通にソファに凭れるように座ると、矢花が立ち上がって慌てる。
意外とそういうの気にするんだ。いや、この場合寝てる所に座っちゃう私が失礼なのかな。
「あ、ごめん。寝てるとこに座っちゃ嫌よね」
「違う、違うけど、まあ、いっか」
「矢花もソファ座んなよ、床痛くない？寒くない？」
「お前ん家か」
「私の長所は誰の家でもリラックスできることだから」
「こんぴの家いた時まじで違和感なかった」
「こんぴの部屋居心地いいからさ〜ほんとなんでこんなアパート選んだんだろ」
「雰囲気って言ってたけど」
「雰囲気〜〜〜〜〜？？」
「あれだよね、貴族の暇つぶし的な思考」
「間違いない。」
「あと片付けない」
「片付けないね〜〜自分の部屋は片付けるけど」
テレビも付けずに、2人で並んで座って話す。
私は体育座りをしてソファの背中に全力でもたれる。すると矢花が私の好きなビールを差し出してくれた。
「ていうか、私この曲超好きなんだよね」
ぷしゅっと缶を開ける。
「え、Aレッチリ聴く？？」
「…聴く。あんま深くはないけど。これあれよな、デスノートのED」
「そうそうそう、え、何が好きよ」
「レッチリで？」
「うん」
「えーー、Can't stopとか、Tell Me Babyとか…We turn redとか」
「マージすか、アツイね」
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作者名：雪 | 作成日時：2022年9月24日 0時
