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そう送って、彼が来たのは1時間後だった。
いつものチェックシャツとバンドT、グレーのデニム姿だ。
「あれ、早かったね」
「時間空いてたからさ、あ、これあげる。好きだったよね」
矢花が差し出したのは私がいつぞやに好きだと言ったレモネード。
正直今はあんまりだけど、有難く受け取る。
すると矢花は、あれ、と呟いた。
「違ったっけ?」
「え、違くないよ」
「だって好きそうな顔してなかったけど」
ふにゃっと笑いながら言ってくる。
「なんでわかったの、飲みすぎて飽きてた」
「あーはいはい、Aさんマジで嘘つけないよね〜」
「はいはいそうです。」
「今日も、俺が見た中で一番嬉しそうだけど」
「だよね、嬉しそうなの分かるよね。」
絵は今白い布を被せている。
村上さんに手伝ってもらったのだ。
「なんで被せてんの」
「いいじゃん、来てすぐ視界に入るよりいいじゃん」
「んー、まあ、確かに?」
「私矢花に一番最初に見て欲しいんだよ」
まあ村上さんには見せたけど。
「じゃあとります!」
そう言って私はばさりと布の端を引っ張った。
絵が現れた瞬間の矢花の顔を見て、私は大満足した。
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作者名:雪 | 作成日時:2022年9月24日 0時