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強さと優しさ〜降谷side ページ16

零はあってないようなもの。
透明を意味する名前だと思っていた。

実際幼少期から名前のことで馬鹿にされてきた。

唯一褒めてくれたのは幼馴染ぐらいだったのに


俺の名前が始まり?

その言葉に救われた気がした。
ゼロは全てを無にする。

そのゼロがすべての始まりだと言われて嬉しかった。

「降谷様、少しお疲れのようですのでカモミールをどうぞ」

「えっ‥」

「目元の疲れが酷いです。職業柄、眠ることができない様子ですね」

どうして…


「失礼いたしました。詮索するつもりはないのですが」

「何故解ったんですか?」

「このお店の常連客の方は刑事さんがほとんどですので…もしかしたら特殊な職業の方と」

かなりの洞察力だな。
俺はポーカーフェイスは得意で他人に疲れを見破られるようなヘマはしないのに。

「後は私が元警官ということもありますね」

「え?」

元警官?

「とは言っても、警察学校を出てすぐに警官は断念しましたので」

「何故?」

「このお店を継ぐことを決めまして…国家公務員は副業は出来ませんでしょう?」

いや、待てよ?
Aさんは一体何歳だ?

「失礼ですがおいくつですか?」

「今年で19になります」

「ええ!」

若く見えると思っていたが、驚いた。

「じゃあつい最近まで女子高生だったんですね」

「はい、一年前に母が亡くなって。家のことでごたつきまして…大学に進まず警察学校に入ったのですがこのお店をどうするかで悩みまして」

「そうだったんですか」

まだ若いのに。
凄く苦労をしているから大人びて見えたのか。

「大変じゃありませんか?」

「常連客の方は殆どが警官の方です。皆さん良くしていただいておりますので」

「そうですか」

それでも苦労は多いのに、顔にも出さないなんて強い少女だ。



「後ろばかり向いていても誰も喜びませんから」

まだ未成年でありながらもちゃんと前を向いている。

警官でなくともその心は警官だった。

少なくとも俺にはそう見えた。

背筋を伸ばし生きるAさんは。


とても凛としていて綺麗だと思った。

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ゆきな(プロフ) - この作品面白かったです!松田さんは…ドンマイ!です!-w俺は警察だ〜と言うときに警察手帳見せればいいのに-w抜けてるのかな-wこれからも無理せずに頑張ってください!この続きを楽しみにしています! (2019年3月20日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです。松田さん災難ですね、サングラスかけてたらやくざっぽいですもんね♪ (2019年3月18日 20時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ししゃも | 作成日時:2019年3月17日 18時

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