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全ての始まり ページ15

セロリのお客様はうつらうつらとしている。


「アルフ、そのままよ」

「クゥーン」

きっとよほどお疲れだったのかもしれない。
そのまま寝かせて差し上げる方がいいわ。

「お仕事が大変なのね」

よく見ると目元にクマができている。

「徹夜だったのね」

セロリのお客様もとい、この人の職業は普通の職業ではない。

これは元公安に所属して私の勘だ。
でも今はお客様として接しているので余計な詮索はするつもりもない。

「かなり眠りが浅そうね」

職業柄、ゆっくり眠れないのかもしれない。

「キャン!」

「これが聴きたいの?」

お店の中に置いてあるヴァイオリンを見て尻尾を振る。



「キャン!」

「お客様が寝ているんだから静かにね」


できるだけリラックスできる曲がいい。


曲はチャイコフスキーのメロディー。
故郷を思いだす曲で私もこの曲が大好きだった。

「キャン!」

「アルフも好きなの?」

「ハッハッ!!」

尻尾を振って喜ぶアルフはこの響きが好きなのかもしれない。

「んっ…」


私も久しぶりに誰かい聞かせる為に弾いたから懐かしい。


音楽を心から楽しみながら弾くことすらできなかった。



でも今は気にしなくてもいい。


ふと視線を感じる。


「起こしてしまいましたか?」

「いいえ、あまりにも心地よくて聞き惚れてしました」

セロリのお客様は私を食い入るように見ていた。


「Aさん」

「はい?」

私の名前、言ったかしら?


「すいません、他のお客さんが」

常連さんは私のことを名前で呼んでいるから気づくわね。


「名前でお呼びしても?」

「はい、かまいませんよ」

「まだ名前を言ってませんでしたね。僕は降谷零と申します」


とても綺麗な響きだった。


「始まりを示す名前ですね」

「え?」

零という名前はゼロとも呼ぶ。

「すべての始まりは(ゼロ)からです」

「テニスのゲームでは0はラブで何もありませんよ」

「確かにそうですが、そこから全てが始まります。零は全ての始まりまでもあるんですよ」


すべての始まりは0から始まる。
だからそんな思いを込めて零と名付けられたのかもしれない。


「素敵な名前です」


響きも綺麗だし私は好きだった。


「キャン!」

「あら貴方もそう思うの?」

「ハッハッ!!」

流石アルフ。
解っているわね。

「あら?どうなさいました?」

「いっ…いえ、なんでもありません」

顔を手で覆うセロリのお客様もとい降谷様はどうしたのだろうか?

強さと優しさ〜降谷side→←天使の微笑〜降谷side



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ゆきな(プロフ) - この作品面白かったです!松田さんは…ドンマイ!です!-w俺は警察だ〜と言うときに警察手帳見せればいいのに-w抜けてるのかな-wこれからも無理せずに頑張ってください!この続きを楽しみにしています! (2019年3月20日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです。松田さん災難ですね、サングラスかけてたらやくざっぽいですもんね♪ (2019年3月18日 20時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ししゃも | 作成日時:2019年3月17日 18時

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