第四話〜僕の小さな主 ページ5
真っ暗な世界で僕は声を聞いた
優しく僕を抱きしめてくれる声だった
僕は拾われて長い間顕現されなかった
元から特殊な刀だから顕現するには条件が必要だ
僕を拾った人間は汚いと言う理由で僕を捨てた
このまま捨てられて朽ちていくのかと思ったけど
僕は光に呼ばれた
「小さな僕の主…」
体を丸めて眠る僕の主を見つめる
小さな体なのにその身に秘めるのは強くて優しい霊力
「うう…髭切どうしたの？」
「ああ、月が綺麗だったからね」
「あっ…本当だ」
起き上がる主は一緒に月を見る
「ここに来る前はいつもお月見をしたわ」
「えっ？」
「私がこの本丸に来る前は加賀にいたのよ…」
ずっと気になっていたことがある
どうして主はこんなあばら屋にいるのか
何でこんな酷い生活をしているのか聞くと、主は笑って答える
「私が最弱の審神者だから…本丸は取り上げられちゃって、大事な刀達も奪われちゃったんだ」
笑っている
どうして笑えるんだろう
「泣いても仕方ない…だから笑うのよ」
「えっ？」
「泣いてもどうにもならない、なら笑っている方がいいじゃない？」
たった一人で辛くないわけはない
それでも君は戦い続けている
小さな僕の主は最弱じゃない
誰よりも大きな心を持つ強い審神者だった
「必ず皆を奪い返すわ」
彼女の強さは守る強さ
何が何でも大切なモノを守るために自分を奮い立たせている
「髭切、アンタも早く寝なさい…寝不足はお肌の敵…っていうか寒い」
「君、僕を毛布代わりにしているでしょ？」
「悪い？」
そして主はとても底なしに胆が据わっている
「はいはいわかりましたお姫様」
「おやすみ」
夜寝静まった時間、僕はあたりを見渡す
微かな気配を感じながら刀を離さず主と一緒に眠った
でもこの時僕は知らなかった
いつも笑顔でいる主が泣くことも許されず、本当は傷ついていたなんて
笑っているのは
大切な約束の為だということに気づかなかった
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藤四郎(プロフ) - めっちゃ面白いです、更新頑張ってください！……鯰尾ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！いいぞもっとやれ← (2018年12月22日 16時) (
レス) id: 770379ee24 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - ユウさん» ええっ？！いいところで次の話まで待つのですか？！早く続きが読みたいです！！更新、頑張って下さい！！！！！！政府と妹に関しては監査に捕まればいいのにと思ってます。 (2018年7月8日 18時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
NaA - すみません、名前の所が途中から(さにわ名)になっています！！ (2017年11月29日 22時) (レス) id: 9e11f50eb6 (このIDを非表示/違反報告)
月夜叉丸 - とても面白かったです！続きを楽しみにしてます(＾ω＾) (2017年11月9日 19時) (レス) id: 72359a84c1 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ○ちゃんさん» コメントありがとうございます！更新がストップして申し訳ありません！ (2017年11月1日 22時) (レス) id: 8f35720166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユウ | 作成日時：2017年10月4日 18時
