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標的19 ページ19

トイレで心を落ち着けて、再び応援席へと戻って来た。
若干目が赤い気もするけど、まあ、大丈夫だろ。

「さーて!試合はどーなって、」
「おねーちゃん、ママしらない……?」

くい、と裾を引っ張られた気がして視線を落とすと、小学校低学年くらいの男の子が今にも泣きだしそうな目でこちらを見つめていた。

……あ。

「大丈夫だよ、一緒にママ探そうね。お名前は?」
「わあい!ありがとう!ぼく、みーくん!」

私は男の子の手を取り歩き出す。

「それで、復讐者の牢獄の居心地はどうかな、みーくん」
「……クハハハッ!どうやら、あなたには敵わないようだ」

諦めたようにクフフ……と漏らすコイツは外見こそ違えど、中身は紛れもなく骸だった。
さっきまでの無邪気な笑顔はどこへやら。
男の子の見た目だと、オーラも半減だな。

「最悪ですよ。こうやって少しの間憑依するのと、あなたの幻覚を補うので精一杯です」
「ああ、それについては感謝してるよ」
「……常に幻覚を展開するの、案外疲弊するんですからね」

まあいいですけど、と骸は口を尖らせる。
ただの可愛い小学生にしか見えない。

「ところであなたにひとつ頼みがあるのですが」
「彼らなら、上手くやってるよ」

そう言うと骸は目を丸くしてこちらを見つめた。
大方、脱獄した仲間たちのことを心配してたんだろう。

「……なんでもお見通しですか」
「ふふん、まあねー」
「未来が見えるというのも、あながち嘘ではないのかもしれませんね」
「あれ信じてない!?」

まだ嘘だと思われていたことに若干ショックを受けつつ、まあ信じてもらえるわけもないか……とため息をつく。
骸は心なしか口元を緩めた。

「それと……」
「みーくんッ!?」
「あっ!ママー!」

骸が何か言いかけた時、突然後ろから声をかけられた。
この子の母親のようだ。

「もう、みーくん!勝手にどっか行っちゃダメでしょ!」
「ごめんなさぁい……」

お母さんは男の子の手を取ると、ペコペコと頭を下げながら言った。

「すみません、ありがとうございました……!」
「あ、いえいえ。大丈夫ですから」
「本当に助かりました……ほら、ちゃんとお礼言いなさい」
「うん!おねーちゃんありがとう!またねー!」

突然のキャラの変わりように吹き出しそうになるのを堪え、手を振りながら去って行く二人を見送る。
……さっき、何を言いかけたんだろう?
一瞬、男の子__骸が振り返り、小声で呟いた。

「また、いずれ……」

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あなたの死ぬ気の炎の属性は……


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佐乃(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます!夢主ちゃんの寝床はそのうち出るかもです……笑 (2019年7月27日 20時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
佐乃(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます! (2019年7月27日 20時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - 面白いです。続きが楽しみです。   ヒロインちゃんは結局どこで寝泊まりしてるんだろうw (2019年7月27日 17時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 物凄く面白いです。 (2019年7月27日 16時) (レス) id: fa117b4385 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:佐乃 | 作成日時:2019年7月26日 19時

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