標的2 ページ2
＿＿＿あ、れ。
気がつくと、私は一人、霧立ち込める草原に立ち尽くしていた。
……夢？
ぐるり、と辺りを見渡す。
回らない頭で、今までのことをなんとか思い出す。
耳に残っている、楽の私を呼ぶ声。
最後に見たあの光景。
え、私
死んだの？
考えたくはなかった。
でもこの状況……もしかして、ここは死後の世界、だったりして。
……夢を見てるだけだと思いたい。
「……楽？」
返事はない。
そうだ、楽の姿がない。
最後に彼の手を取ったのは覚えている。
もしあの時一緒に命を落としていたら、ここにいるはずなんじゃ……
いないってことは、楽は大丈夫なんだろうか。
「おーい！がぁーくぅー！いたら返事しろー！！」
自分の声だけが虚しく響き渡る。
返事はない。
漂う冷気に、思わず身震いをする。
「おや」
！？
突然背後から声がして、咄嗟に振り向く。
霧の中から、徐々にぼんやりとしたシルエットが浮かび上がる。
「誰かと思い来てみれば……とんだ子羊が迷い込んだようだ」
男の声だった。
子羊とか……案外、キザなヤツなんだろうか。
「だ、誰？」
「そう身構えなくてもいいですよ」
そう言ってゆっくりと近づいてくる影に、私は思わず後ずさる。
お互い姿が見えないまま、沈黙が流れる。
「……丁度いい」
「え、」
そう言うと、男の影は突如霧の中に溶け込み、姿を消した。
待って、と一歩踏み出した直後、突然視界が真っ暗になる。
背後からの気配を感じ、両目を塞がれたのだと認識する。
瞼に触れる手が異様に冷たくて、背筋がゾクリ、とはねる。
耳元で、あの男の声がする。
「僕たちは今から、運命共同体となる」
どういう意味、と言葉を発する前に、胸を激痛が貫いた。
全身の力が抜け、その場に倒れ込み、再び視界が開ける。
無理やり視線だけを下に向けると、自分の胸から、三本の槍先のようなものが突き出している。
薄れゆく意識の中、遠くであの男の特徴的な笑い声が響いていた。
あなたの死ぬ気の炎の属性は……
雷
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佐乃(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます！夢主ちゃんの寝床はそのうち出るかもです……笑 (2019年7月27日 20時) (
レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
佐乃(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます！ (2019年7月27日 20時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - 面白いです。続きが楽しみです。 ヒロインちゃんは結局どこで寝泊まりしてるんだろうw (2019年7月27日 17時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 物凄く面白いです。 (2019年7月27日 16時) (レス) id: fa117b4385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐乃 | 作成日時：2019年7月26日 19時
