◇Story230 ページ30
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「.....え」
名前で呼んで、と言われて
呼び捨ては無理だなぁ、なんて思いながら『翔くん』と呼んだ。
なんとなく、恥ずかしくて
だけどなんだか特別感があって嬉しかった。
そうしたら、いきなりふっと笑うから
あぁ、やっぱり私は櫻井くんが好きだななんて
...そう思った。
『好きだよ』
だから最初は、私の気持ちが声に出てしまったのかと思ったのだ。
だけど、声は間違いなく櫻井くんの声で
一瞬頭が真っ白になってしまった。
櫻井くんの方を見れば
真剣な瞳が真っすぐに私を見ていて
私も固まったままその瞳を見ていた。
静寂の中にただ自分の心臓の音だけが響いていた。
.
「...帰ろっか?」
ぽつり、と櫻井くんがそう言ったのが聞こえてハッと我に返った。
どれくらい経ったのかわからないくらい頭が真っ白で
ただその言葉に"うん"と返しただけ。
「.......」
パッと目を逸らして無言で歩き出す櫻井くんに
ついていくように少し後ろを歩いた。
歩き出してやっと、自分の頭が正常に働くのだ。
さっき、櫻井くんはなんて言ったっけ。
確か、『好きだよ』って。
好きって、何? どういうこと?
何が好きなの?
そう言う前に、確かに櫻井くんは私の名前を呼んだ。
それは...私が好きってことなの...?
「っ...!」
ちらり、と前の櫻井くんを見るけれど
櫻井くんは後ろも見ずにただ私の家までの道を歩くだけ。
...それは、自惚れすぎだろうか。
櫻井くんが、私のことを好きだなんて。
今までに言われたことなんて一度もない言葉。
だから、意味が分からないのだ。
櫻井くんと出会ってから
"好き"には2種類あるんだっていうのを知った。
明確な違いは言えずとも、自分で感じる感覚は全く違う。
櫻井くんの言う"好き"に含まれる意味を、どうしてもそれだけじゃ理解ができないのだ。
だけど、きっと
私が櫻井くんに対して想う"好き"とは違うんだろうな
...なんて考えれば少し胸が痛むけれど。
.
「...着いたね」
終始、無言だった。
ずっと、さっきの言葉の意味を考えていたから短く感じられたけれど。
くるりと振り返った櫻井くんの、顔をよく見れなかった。
だけどやっぱり今日はもうお別れ、なんて寂しいと思う。
一緒にいても話せない、のに。
「...じゃあ...また」
さっきの言葉の意味を聞きたかったけれど
聞くのがどうしても怖かった。
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あんでぃー - ことみさん» ありがとうございます！ そう言っていただけて嬉しいですm(_ _)m 修学旅行考えておきますよ！できれば私も書きたいです (2016年10月30日 1時) (
レス) id: 87b0bbe0e9 (このIDを非表示/違反報告)
あんでぃー - らいむぎさん» コメントありがとうございます(*´ω`*) キュンキュンしてくださって嬉しいです笑 今後もよろしくお願いします！ (2016年10月30日 1時) (レス) id: 87b0bbe0e9 (このIDを非表示/違反報告)
あんでぃー - keiさん» 作者にも読者にも忘れられるわんちゃん…笑 そう言っていただけて光栄です！Part7もよろしくお願いします！ (2016年10月30日 1時) (レス) id: 87b0bbe0e9 (このIDを非表示/違反報告)
あんでぃー - のりさん» ありがとうございます！そうなんですか？近所なんですね！笑 移行したので今後もよろしくお願いします（^人^） (2016年10月30日 1時) (レス) id: 87b0bbe0e9 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - ふとこの小説に出会ってからずっと更新を楽しみに読ませてもらっています！あんでぃーさんの書く小説の雰囲気や世界観がすごく好きです。これからも楽しみにしています！修学旅行も読みたいなー笑 もし出来たらお願いします！ (2016年10月29日 16時) (レス) id: b4dec6db72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんでぃー
| 作成日時：2016年10月12日 21時
