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「……っ」
「あ、ぶな」
短く喉を鳴らしていたAの体が、不意にぐらついた。首元に引っかかっていたタオルがべちゃりと床に落ちるのを横目に、咄嗟に動いたカルマの腕が彼女を支える。触れた肩が震えるのはきっと風邪のせいだけではない。
体に力の入らないらしいAを促して、二人してどうにかソファに雪崩れ込んだ。
譫言のように父を呼び続けるAが、何とかして這いずり出ようと腕に力を篭める。が、力が入らない上に彼女の頭の真横、柔らかな肘掛けの余白に手が突かれた。
「だめ」
僅かに負担の増えたソファが小さく軋んだ後、制止の声が降りかかった。嗚咽の消えかけたAに半分覆い被さったカルマが続ける。
「俺がいいっていうまで帰さないから。少なくとも、あんたが回復するまでは」
見下ろす彼が告げたのは、Aにとって惨く、そして優しい宣告だった。仰向けになった視界の中で、微かに逆光を浴びた黄金色が薄暗くなっている。
「今の浅野さん追い出して、またぶっ倒れでもされたらこっちだって夢見悪いんだけど」
険のある言葉だが、重くはなかった。それが余計に彼女の肺を握り締める。真上を陣取っていたカルマの顔がぐっと寄せられ、瞠ったAの瞳が照明を射し込んで動揺に揺れる。
「あんたは大丈夫って思い込んでるのかもしれないけど、自分がどれだけ体壊してるか少しは自覚してくれない？」
わかっている、筈なのだ。自分の身を案ずる故の厳しい言いようには気付いていた。案じられていることが、正確には、
「…………んで、そんなに優しくしてくれるの」
「さあ？ ただ俺は浅野さんをそれなりに仲良い友達だと思ってるから、自分の体調も顧みないところが気に入らないだけだよ」
「何、なんで、今更」
「……浅野さん？」
「
────だって、そんなこと誰も言ってくれなかったじゃない……!!!」
正確には、今までに浴びてきた視線や声の中に、
「ずっと、ずっとずっとずっと一人で！ 誰も何も助けてくれなかった!! そんな風に優しい人なんかいなかった!!!
誰も止めてくれなかったから、止まり方なんて知らなかった、のに、何で今になって、っ！」
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窓(プロフ) - 星咲夜空@スマホさん» コメントありがとうございます！これから浅野さんがどうなるのか、他のキャラクターとの絡みも含めて楽しく読んでいただけるよう更新頑張りますので、気長にお待ちください！！ (2022年6月26日 19時) (
レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
窓(プロフ) - カミレさん» コメントありがとうございます！浅野さんがこれからどうなるのか、私自身決めかねている部分もありますが最後まで楽しんでいただけると幸いです……！！ (2022年6月26日 18時) (レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
星咲夜空@スマホ(プロフ) - あ、浅野さんー！が、がんばれー！これ続きが気になる……どうなるのこれ…… (2022年6月1日 22時) (レス) @page21 id: 2efeb2cec1 (このIDを非表示/違反報告)
カミレ(プロフ) - 胸が痛いです。すごく、すごく、浅野さんの気持ちが痛いくらいに伝わってきます。がんばって浅野さん！！ この作品本当に大好きです！丁寧な描写がすごく好きです！ (2022年5月31日 9時) (レス) @page20 id: ac25ff3042 (このIDを非表示/違反報告)
窓(プロフ) - 猫さん» 遅れてしまってすみません、コメントありがとうございます！更新が滞っていますが楽しんでいただけると嬉しいです！ (2022年4月19日 22時) (レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：窓 | 作成日時：2022年3月22日 20時
