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歴史ある暗殺の跡地を巡り、三人の意見を汲んでカフェで一服した四班の面々は、前日に神崎の提案していたルートである祇園の小道を並んで歩いていた。
「…………静かだ……」
建物の影で薄暗い路地は、大通りからもやや距離があるおかげかしんと静まり返っている。常に賑わう観光都市とは思えない静寂に、少し冷えた空気を吸うAの口から不意に言葉が漏れた。
感動すら含んだ彼女の声色に、前を歩く奥田が首肯で応えると同時に、先頭の方にいた茅野がへええと声を上げた。
「祇園って奥に入るとこんなに人気ないんだ」
「うん。一見さんはお断りの店ばかりだから、目的もなくふらっとくる人もいないし、見通しがいい必要もない
だから、私の希望コースにしてみたの。暗殺にぴったりなんじゃないかって」
補足する神崎の言葉に、Aは彼女に渡したスケジュール帳の中身を思い出していた。あますことなく書き写していたので記憶に残っているが、神崎の組んだ予定は無駄もなく、経路をどう暗殺に使うかやスナイパーの狙撃ポイント候補などが詳らかに記されていた。
真面目な性格の彼女らしい堅実な帳面に感心したなあと想起していると、冷たくも穏やかな裏路地の空気を裂く足音がAの鼓膜を微かに揺らした。彼女達の後ろから追ってくるように聞こえたそれは、徐々に近づいてくる。
「皆、後ろから他の人来てるみたいだから端に」
「マジ完璧。なあんでこんな拉致りやすい場所歩くかねえ」
クラスメイトに呼びかけたAの言葉を遮って、男の声が小路に響いた。前方のカルマでちょうど見えない方向から聞こえた声に立ち止まってすぐ、今度は後方から追いついて立ち止まる複数の足音に全員が目をやる。
まず目に入ったのは、先頭に立つ学ランの男だった。体格からして高校生と思しき男が、同じく学ランの男達を引き連れて狭い道を占領している。
そのどれもが浮かべる猥雑な笑みに、傍の奥田を庇うようにAは彼女を背に引き寄せて開きかけていた口を引き結んだ。
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窓(プロフ) - 星咲夜空@スマホさん» コメントありがとうございます。糧とまで言われて本当に嬉しいです……！ 今までほどの更新頻度は保てないですがお付き合いいただけると幸いです！ (2021年9月4日 1時) (
レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
星咲夜空@スマホ(プロフ) - 更新ありがとうございます。この作品の更新が生きる糧です、これからも無理のない範囲で頑張って下さいませ！ (2021年9月4日 0時) (レス) id: 2efeb2cec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：窓 | 作成日時：2021年9月2日 20時
