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自分達より少し先を行っていた五人がやいのやいの騒ぐのを聞いて、話の中心らしい茅野に声をかけようと先に踏み出したのはAだった。
「どうしたの茅野さん」
「浅野さん！ 浅野さんも反対だよね!?」
「……ごめん、話し込んでて聞いてなかったんだけど何の話？」
上目遣いにぷんすこ怒っている茅野の話を聞くと、京都に来たのだから先述した甘味を食べたいとぼやいた彼女の意見を聞いて、奥田とカルマがそれを暗殺に使えないかと提案したのだ。茅野以外から特に反対意見は出なかったようで、殺せんせーに効く毒があればいいけど……と真剣に考え込む神崎に、話を聞き終えたAがはっとして自分の鞄を探り始めた。
「実はこういうこともあるかと思って、烏間先生に頼んでたんだ」
そう経たずして彼女が鞄から出した手の中にある小さな瓶に、茅野が怪訝な表情を見せた。透けて見える中身は、乳白色のパウダー状のものだ。
「何これ？」
「対先生用物質を粉末状にして少し白っぽく脱色してもらったの。粉砂糖って言ってこっそり甘いものにかけられるかなって
……ほら、前赤羽君が初めて先生にダメージ与えた時ナイフを小さく切って手に貼りつけてたじゃない？ あれ以上に細かくしても殺せんせーに効果あるのか気になってたんだよね」
Aの言葉に、他の班員はいいじゃんそれ、体内からも対先生用物質って効き目あるのかな、と肯定的な反応を見せる。そんな中、先程まで彼女からスイーツを暗殺に使いたくないだろうと同意を得ようとしていた茅野が目を見開いて、少しばかり上背のあるAに真正面から抱きついた。
「あ、浅野さんまで抹茶わらび餅を粗末にするなんて……!!」
ううー、と短く唸った茅野はそのままAのブレザーにぐりぐりと頭を押し付ける。甘えているようにも見える可愛らしい様子に眉根を寄せながら、小さく笑ってAは髪の高く結われた頭を優しく撫でた。
「まあまあ、万が一これが経口摂取で効くなら手段の一つってだけだから……もし暗殺成功したら、報酬金で一緒に抹茶わらび餅食べようよ。他にも八つ橋とか抹茶プリンとかあんみつとかもさ……それじゃダメかな？」
「……ほんとに？ 皆で食べる？」
余程ショックだったのか、いまだ僅かに沈んだ声のまま茅野が顔を上げる。少し拗ねた表情の彼女に食べる食べる、とAが返せば納得したのか、低い位置の頭が一度小さく頷いた。
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窓(プロフ) - 星咲夜空@スマホさん» コメントありがとうございます。糧とまで言われて本当に嬉しいです……！ 今までほどの更新頻度は保てないですがお付き合いいただけると幸いです！ (2021年9月4日 1時) (
レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
星咲夜空@スマホ(プロフ) - 更新ありがとうございます。この作品の更新が生きる糧です、これからも無理のない範囲で頑張って下さいませ！ (2021年9月4日 0時) (レス) id: 2efeb2cec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：窓 | 作成日時：2021年9月2日 20時
