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「修学旅行のしおり、1243ページ。班員が何者かに拉致られた時の対処法」
投げ出された仲間に呆気に取られる不良をよそに、渚が淡々としおりを読み上げる。
「犯人の手がかりがない場合、まず会話の内容訛りなどから、地元の者かそうでないかを判断しましょう
地元民でなく更に学生服を着ていた場合、1344ページ……」
ぱらぱらとページを繰りながら一歩進んだ渚を、両側からカルマとAが追い越す。更にその背後で、杉野がの掌と拳をばしんと音を立てて力強く合わせた。
「考えられるのは、相手も修学旅行生で旅先でオイタをする輩です」
「っ皆!!」
ほっとした表情を見せる茅野と安堵の息を吐いた神崎とは対照的に、焦りを露にした不良が何でここがわかった!? と怒鳴るが、攻め入る準備を整えた渚達には掠りもしない。
「土地勘のないその輩は拉致した後、遠くへは逃げない。近場で人目につかない場所を選ぶでしょう」
その場合付録134ページへ、と続けた渚が、不良達に掲げるように版面をぐるりとひっくり返す。見開きで一杯に描かれた地図が、ほの暗い照明に晒された。
「先生がマッハ20で下見した、拉致実行犯潜伏マップが役立つでしょう」
「すごいなこの修学旅行のしおり！ 完璧な拉致対策だ！」
「やっぱ修学旅行のしおりは持っとくべきだねえ」
とぼけているのか否か、辞書並みのしおりを褒め称える男子陣に後方に控える奥田にちらと視線をやったAは、同じく何ともいえない顔の彼女と目が合い互いに小さく苦笑いを溢す。
不良達も二人と似た感想を抱いていたようで、目を点にしていたかと思えばねーよそんなしおり！ と盛大に突っ込みを入れた。
しかしそんな一瞬緩んだ空気が膨らむ中、一歩踏み出したカルマの声が絞る。気の抜ける風船のような空間中、刺々しい声色が空気を突いた。
「……で？ どーすんのお兄さんら。こんだけのことしてくれたんだ、あんたらの修学旅行はこの後全部
入院だよ」
ドスの効いた声が、針になって空気を刺す。
横目に見た琥珀色の双眸が、赤い髪の隙間で尖らせた目つきで薄く笑った。
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窓(プロフ) - 星咲夜空@スマホさん» コメントありがとうございます。糧とまで言われて本当に嬉しいです……！ 今までほどの更新頻度は保てないですがお付き合いいただけると幸いです！ (2021年9月4日 1時) (
レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
星咲夜空@スマホ(プロフ) - 更新ありがとうございます。この作品の更新が生きる糧です、これからも無理のない範囲で頑張って下さいませ！ (2021年9月4日 0時) (レス) id: 2efeb2cec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：窓 | 作成日時：2021年9月2日 20時
