修学旅行の時間・1時間目/12 ページ2
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修学旅行でのE組の差別化は、行きの道中だけでは終わらない。A組からD組がホテルの個室が用意されているのに対し、E組は古風な旅館に男女一部屋ずつの大部屋が与えられているのみだ。
その旅館に着いて早々、乗り物酔いを起こした殺せんせーを磯貝達がナイフで狙う傍ら、ソファに座っていた神崎と茅野が、神崎の膝の上の鞄を見てどこか浮かない表情をしている。遅れてロビーに入ったAは、曇った顔の二人に気付き声をかけた。
「神崎さん茅野さん、何かあった？」
「あ、浅野さん。神崎さんの日程ひょ……浅野さん顔赤いけど大丈夫？」
言葉を途中で遮った茅野に指摘され、Aはえ!? と声を上げて手で口を覆った。原因は自分でもよくわかっている、新幹線が京都に着く直前に起こされた時に何故かカルマに膝枕をされていたことが原因だ。いくら寝不足とはいえ人に身体を預けてしまうなんて……と少々ずれた羞恥心とカルマへの申し訳なさに苛まれつつ、空いた手で顔を扇ぎながら大丈夫大丈夫と返した。
「そ、それより、日程表がどうしたの？」
「う、うん。日程表が見つからないらしくて……」
神崎が探しているのは、修学旅行の日程や暗殺ポイントの経路を独自にまとめたものだ。ソファでぐんにゃりとしながら辞書並のしおりを殺せんせーが取り出すのをなんともいえない表情で眺めながら、Aは自分の鞄を漁り出した。
「確かにバッグに入れてたのに……どこかで落としたのかな」
落ち込んだ声色の神崎が視線を落とすが早いか、床を映す彼女の視界に小さなノートが入り込んだ。「日程表」と淡い緑の表紙に書かれた文字に気付くと同時に、神崎の頭上に声が降る。
「もしよかったらだけど、神崎さんこれ使って？」
ノートを差し出したのはAだった。修学旅行前の話し合いで神崎が丁寧に書き留めたものを後から彼女も見せてもらい書き写していたのだ。勿論、見せた神崎の方もそのことは覚えていたが、それは彼女に悪いと首を振る。
「え……でもこれ、浅野さんのじゃ」
「いいのいいの、私全部覚えちゃって念の為持ってきてただけだし」
神崎の拒否を軽く受け流したAはそれに、と更に続ける。
「私なんかより、神崎さんの方がしっかりしてるから。そういう人が持ってた方がいいと思うんだけど……だめ、かな？」
見つかったら返してくれればいいから！ とまで押されて、折れた神崎がじゃあ見つかるまで貸してもらうね、と遠慮がちに笑った。
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窓(プロフ) - 星咲夜空@スマホさん» コメントありがとうございます。糧とまで言われて本当に嬉しいです……！ 今までほどの更新頻度は保てないですがお付き合いいただけると幸いです！ (2021年9月4日 1時) (
レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
星咲夜空@スマホ(プロフ) - 更新ありがとうございます。この作品の更新が生きる糧です、これからも無理のない範囲で頑張って下さいませ！ (2021年9月4日 0時) (レス) id: 2efeb2cec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：窓 | 作成日時：2021年9月2日 20時
