コーヒー屋さん ページ17
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趣味は人間観察、っていう人よくいるけど
俺の趣味はコーヒー屋さん観察だ。
S「ジューシーなから揚げなんですッ！」
とある商店街の片隅。
俺の働く精肉店の真向かいがコーヒーショップ。
店員さんの顔面偏差値がやたら高くて街の人はホストコーヒー(略してホストコ)と呼んでいる。
爽やかカウンターの雅紀さんと、バリスタの松潤さん(いつも雅紀さんがそう呼んでる)。
真っ白なシャツに黒のエプロン。
タイトなベストが彼のシャープな顎のラインを引き立てて…。
A「松潤！ブレンド」
M「やってるよ。」
A「次アイス２つね〜」
雅紀さんがスマイルを振りまいてる間に
綺麗な指がコーヒーの粉をきっちり擦りきり
オーダー伝票が通る頃には
コーヒーマシンからこちらにまでいい香りが漂って、その横でテキパキとテイクアウト用の準備をしてる。
AをしながらBをこなせるバリスタさんは不器用な俺の憧れだ。
「お兄さんミカン食べる？」
S「あ、いただきます♪」
お客さまに美味しそうなミカンもらった。
…食べちゃお。
A「松潤！次のアイス２つまだ？」
M「あ？俺聞いてないし。」
ゎゎ！逆ギレかよ！俺は聞いてたよ！
てかさっきから見られてる？
ミカン食べてるのバレたかな？
O「翔君〜！翔君〜！」
S「はいっΣ！店長ッ」
店長の大野さん。商売っけがないボーッとした感じだけど、から揚げ作りだけは抜群のセンスで、その味だけで店を回している凄い人。
O「店長ってやめてよ〜智で。」
S「智…クン？」
O「ま、いーや。これ追加ね。あ、ミカン。」
S「おひとつどうぞ」
O「どーも♪あ、ねぇ後でアレ」
S「和也さんに内緒の？」
O「内緒ね♪」
帳簿つけが苦手な智君のお手伝いをしてるのはオーナーの和也さんには内緒なんだ。
ふたりだけの秘密ってちょっとくすぐったくて
ミカンを食べながらふたりで笑いあう。
N「ニヤニヤして見てたでしょうがっ！」
M「俺が見てたのはッ！」
…あ。噂をすれば。
お昼におりてきた和也さんがバリスタさんとなんか楽しそうにお話してる。いいなぁ…
N「…どっちにしても仕事しろや。」
M「イッテっ！つえーよ！！」
和也さんにデコピンされたバリスタさんが
涙目でちょっとまぬけ、で。
いつもクールなバリスタさんが
こんな可愛い顔するんだ。
もっと見たいな。
じっと見てたらオデコをさすってるバリスタさんと目があって、ただあわあわと愛想笑いをした。
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作者名：ゆみ
作成日時：2017年5月29日 19時
