僕と大家さん〜MJBD ページ14
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僕は大家さんと仲良しだ。
アパートの１階が大家さんの住まいで
２階に僕は間借りしている。
S「松本さん、ごきげんよう〜」
部屋には当然鍵をかけているが
大家さんはお構いなしに留守中に洗濯物を取り込んでくれたり
気づいたら冷蔵庫の中に伊勢丹で買ったお惣菜がお手紙を添えて入っていたりする。(大家さんは戦前からの伊勢丹好きだ)
一歩間違えれば不法侵入だが、いいとこのお嬢さん然とした絶妙な距離感の取り方がイヤな気持ちにさせない。
M「こんにちは、大家さん」
S「今日は松本さんにお願いごとがありますの…この佃煮の瓶、蓋が硬くて」
M「あぁ、お安いご用ですよ。貸してください。そうそう！友人からの海外土産の紅茶があるんですが、ご一緒にいかがです？」
S「海外旅行…ステキね」
M「大家さんは海外行ったことは」
S「ワタクシの若い時分は戦中ですもの…今はこんな年寄りだし。あらこの缶…」
台所の入口から遠慮がちに首だけ出していた大家さんがひょこひょこと来て、缶を手に取った。
M「フォートナムメイなんとかって言う…」
S「これ、伊勢丹の地下で売ってましたわよ？」
M「……」
S「…(*´∀｀)」
M「…伊勢丹ってなんでもあるんですねぇ」
S「ええ！だからワタクシ伊勢丹大好き」
一歩間違えればイヤミな台詞も、大家さんのまん丸なおめめで真っすぐに言われると伊勢丹はすごいという実に平和な話になる。
S「お紅茶に佃煮はあわないわねぇ〜松本さんちょっと待っていらして。ワタクシ下から見繕ってくるから」
M「あ、肝心の佃煮お忘れに」
大家さんはちょっとせっかちさんだ。
ヤカンが沸騰してガスを消した瞬間。
…ぱちん。
S「ハッピーバースデートゥーユー♪」
電気が消えてロウソクを持った大家さん。
ニコニコの笑顔が炎に揺れて。
S「さ、松本さん、火を消してくださいな？」
M「あぁ、はい。」
ふうっとロウソクを消して電気がつくと
ロウソクがささっているのは…おはぎ。
え、おはぎ？
S「召し上がって？ワタクシおはぎ大好き♪」
M「僕も好きです。」
大家さんはニコニコとお喋りをして
おはぎをペロリと平らげると
S「あらこんな時間。松本さんごきげんよう〜」
M「大家さん、ごきげんよう。」
やっぱり佃煮の瓶を忘れて帰っていった。
また明日。
大家さんに会える口実が出来て
不思議と胸が浮き立つ。
*** Happy Birthday dear MJ ***
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作者名：ゆみ
作成日時：2017年5月29日 19時
