日なたの窓に憧れて (ページ4)

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光る窓ページ4

S「あんのワガママ娘…！」

失礼いたしました。
私(わたくし)、宝生家にお仕えする執事の影山でございます。以後お見知りおきを。

何故ゆえ、私がこんな夜更けに買い物袋をぶら下げて歩いているかと申しますと

ワガママ娘…もといお仕えしているお嬢様が

「影山！サッポロ一番塩ラーメンが食べたい！」

などとおっしゃいまして、私はラーメンならば松月庵の出前をとおすすめしたのに

「いーから！塩だからね！早く！」

追い出されたのでございます。

お屋敷への近道、いつもは一方通行なので車では通らない路地に入りますと

S「なんと！美しい…」

緩やかにカーブしたガラスブロックの壁がグリーンのグラデーションに輝いて夜道を照らしております。

エミールガレのランプもかくやと言う輝きに思わず足を止めて、その緑の光はどこから来ているのか中を覗いても分厚いガラスブロックからは何も見えません。

仕方なく、明日にでも宝生グループの力で調べようとサッポロ一番の袋を抱え直した所で

M「入会希望の方ですか？」

ジャージ姿の男性がやってきました。

S「あ、いえ私は宝生家の…」

M「宝生さん。僕は松本です。さ、どうぞ！」

つい断りきれず松本さんからジャージをお借りして、その中へ入ってみると、緑の正体は道場のマットレスでした。

S「あのぅ…ここは？」

M「スポーツヌンチャクの道場です。まずは基本の構えから…」

松本さんの丁寧なご指導を賜り

S「チェストぉー！！」

少々運動は苦手な私もなんとか形になりまして楽しく周りの子供たちと盛り上がり。

M「素晴らしいです。宝生さん。どうです、ここで僕とインストラクターとして一緒に働きませんか？」

などと魅力的なお誘いに心を揺らしておりました所

♪生まれる前から知っていたような～

無粋な呼び出し音と同時に

「影山ー！あなたドコまで買い物行ったのよ！早く戻りなさい！」

…私とした事がすっかり忘れておりました。

S「松本さん、私、別にお仕えしている方がおりまして。せっかくのお誘いですが…」

M「そうですか。残念だなぁ～」

S「またチェストのレッスンにお伺いしても構いませんでしょうか？」

…

S「そんな訳で私、火曜日と金曜日はお屋敷を留守にさせていただきます。」

「話長い。どうぞご勝手に。それより早くサッポロ一番塩ラーメン！！」

この時始めたヌンチャクがある女性をお守りするのに役立ったお話はまたの機会に…

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