相席 ページ30
AM 11:50…
デスクに向かって目を閉じる。
オフィスの駐車場口から出たら右へ。
一番近い階段からは惣菜コーナーの特設売り場は実は遠いから、ぐるっと回って西側入口からエスカレーターで下りれば、そこに…
O「(人2)君、この企画書なんだけども」
N「あー部長ダメダメ。(人7)さんイメトレ入っちゃってっから、午後いちにして下さい。」
A「(人7)ちゃん！そんなデパ地下のチラシばっかし見てちゃ淋しい老後になっちゃうよ〜」
N「だから止めなさいよ！アンタ食われるよ」
(人3)君がグラビアのページを目の前で振るのも、部長が朝一番に提出したはずの企画書について今ごろになって話し出すのも今は無視。
正午ジャスト。
時計の針が真上に向かうと同時にオフィスからダッシュで駆け出す。
…
S「ラッキー♪今日は限定駅弁買えちゃった！」
デパ地下と言う場所はとても素敵で
毎日何かしら新しい世界中の美味しいモノが入れ替わり立ち替わりひしめき合って
またそれが限定なんて言われたら、それを攻略するのにあれこれ知恵が必要で
自他ともに認める食いしん坊の俺にとってパラダイスで、唯一の日々の楽しみだ。
…
そんなパラダイスから、エレベーターの最上階へ、さらに階段を上ってドアを開けば…
ビルの屋上とは思えない一面緑でおおわれた庭が現れる。
木漏れ日の中を進むと赤いベンチ。ここが俺の指定席。
そして隣りの紫のベンチは…彼の指定席。
どこの誰かは知らないけど、いつも少し離れて並んだベンチでそれぞれ飯を食う。
今日も軽く会釈をして、それぞれの弁当を開く。俺はデパ地下が多いけど、彼は手作りの弁当。結婚…してるのかな？イケメンだもんな〜
弁当を食い終われば、俺は新聞を読んだり、音楽聞いたり。彼はタブレットを取り出して、何かを熱心に読んでる事が多いかな？
たまにクスッと笑ったり、いつか突然泣き出した時はびびったなぁ。普通の時は怒ってんのかな？て感じなんだけど、笑うとちょっと可愛くて…
すごく気になる。
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作者名：ゆみ
作成日時：2014年7月20日 14時
