33話 ページ34
『ふ、フーゴが……私を、?』
「……ごめん、迷惑なのはわかっています。だけど、どうしても伝えたかったんだ」
そう言ったフーゴは、真剣な顔で私を見る。
その顔を見て、冗談なんかじゃないことはわかった。
それに……
フーゴは私とブチャラティを応援してくれていた。
きっと、ずっと辛かったはず。
それなのに、私は何もわかっていなくて……
もし私が彼の立場だったなら……。
『っ、ごめん、フーゴ………』
ジワッと視界が滲む。
『な…なんでAが謝るんですか!』
フーゴは慌てて私の涙を拭ってくれる。
だけど、私はどうしたって彼を傷つけてしまう。
だって、私にはもう………
「わかっています。僕は、ブチャラティとAが両想いになれば、この気持ちをたちきれると思っていました」
私の目から溢れそうになる涙を拭って、フーゴは話を続ける。
「だけど駄目だった。僕は、自分で思っている以上に、Aのことを好きになってしまっていたんですね」
その言葉に、ズキズキと心臓が痛くなる。
『っ……』
「A、これはわがままなんですけど……僕のお願いを一つだけ聞いてくれませんか」
『なに…?』
フーゴは、少しためらうような表情をしてから、静かに口を開いた。
「その……一度だけ、抱きしめさせてもらえませんか」
………私には、もう大切な人がいる。
だから、どうしたって彼を幸せにしてあげることはできない。
だけど、このお願いを聞いて少しでも気持ちを和らげることができるのなら……
『……わ、かった』
熱でのぼせた頭。
彼は、私の背中に優しく腕を回した。
私は、広がる彼の匂いに包まれながら、ただただじっとしている事しかできなかった。
否、ドサリと袋の落ちる音が聞こえるまでは。
『…っ!』
「ブチャラティ…」
のぼせた頭は、鮮明になる。
「………お前たち、何を…しているんだ?」
彼の凍り付いた表情に、私は
何も声に出すことはできなかった。
*…*…*…*…*…
幸運を運ぶ黄金の風キャラ
トリッシュ
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林檎凛子(プロフ) - 最近アニメ見て、ブチャラティ見て、最初に思ったことが、「占ツクに行かなきゃ…(使命)」でした…(笑)そこでこんな素晴らしい作品に出会えて感謝しかないです。ホント。好きです。これからも頑張ってください。そして絵がお上手で憧れます (2019年1月6日 20時) (レス) id: 49cb444d15 (このIDを非表示/違反報告)
林檎凛子(プロフ) - 最近アニメ見て、ブチャラティ見て、最初に思ったことが、「占ツクに行かなきゃ…(使命)」でした…(笑)そこでこんな素晴らしい作品に出会えて感謝しかないです。ホント。好きです。これからも頑張ってください。そして絵がお上手で憧れます (2019年1月6日 20時) (レス) id: 49cb444d15 (このIDを非表示/違反報告)
れあ(プロフ) - ニックネームさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…!楽しんでいただけて、本当に嬉しい限りです(´`*) 更新頑張ります! (2018年12月24日 1時) (レス) id: 91035ceaa1 (このIDを非表示/違反報告)
ニックネーム(プロフ) - いつもなんかブチャラティかっこよすぎてドキドキする。見てるこっちが酸素不足になりそう笑 本当にいつもドキドキするような話をありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年12月20日 0時) (レス) id: 4f09a1f1a3 (このIDを非表示/違反報告)
れあ(プロフ) - よりりさん» コメントありがとうございます! こういった展開いいですよね、私も好きです笑 応援ありがとうございます、とても励みになります!これからもこの作品をよろしくお願いします…! (2018年12月19日 2時) (レス) id: 91035ceaa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れあ | 作成日時:2018年12月1日 16時