魔法少女幸福論。 (ページ4)

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二幕。ページ4

「おはよう」

「おはよー」

　私が通うのは、県立雷門高校。

　良くも悪くもない
　至って平凡で平均な学校。

　そこの２-Aの教室に入り
　誰にも気づかれないかのように着席する。

　誰からも挨拶はない。
　私からすることもない。

　小学校でも、中学校でも、高校でも。

　地味だって避けられ
　一日のほとんどを無言で過ごしてきた。

　だからこそ憧れたのだ。

　魔法少女のキラキラした世界に。

　そのときのことを、少しだけお話ししよう。

　私が初めて魔法少女というものを知ったのは
　小学校の高学年のとき。

　偶然つけたテレビに映っていたのが
　可愛い衣装に身を包んだ女の子が魔法の力で悪者と闘うという話だった。

　ホウキに乗って飛ぶ。

　そんな昔からある魔法とは違う。
　もっともっと、きらびやかな魔法の力。

　ホウキがなくても空を飛べる。

　呪文1つで願いが叶う。

　
　そんな力に、胸が熱くなるのが分かった。

　それからというもの。

　毎日毎日真似をして遊んだ。

　同じ呪文を唱えてみたり
　変身のポーズをしてみたり。

　そしてただ願った。

　
　私にも、魔法の力を下さい、と。

　
　…当然、叶うはずなどなかったのだ。
　ここはアニメのなかとは違う。

　ホウキで飛べば落ちるだけ。

　呪文はただのおまじない程度。

　それでも願い続けた。

　どうか、私を、魔法少女にしてくださいと。

　
　それから幾分か時が過ぎ
　高校二年生になったその日の夜。

　
　とうとう叶うことになったのだ。

　私は、魔法の力を手に入れ
　『魔法少女』となった。