らぶでいず。【及川徹】 (ページ32)

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ベストカップル賞 1話ページ32

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｢今年のベストカップル賞、優秀賞はこちらのカップルです！｣

司会の合図によって大きなスクリーンに映し出されたのは｢及川徹♡七瀬A｣の文字。

そして全校生徒の悲鳴。

突然の事で同姓同名の違う人かと思ったけど、みんなからの視線ですぐにその可能性は打ち消された。

青葉城西高校では毎年１回、応募したカップルの中から校内のベストカップルを投票で決めるという謎の催しがある。

そして優秀賞を取ったカップルには食堂の無料券・部費20%アップ・学校の公式グッズのどれかがプレゼントされるのだ。

しかし、ここで問題点がひとつ。

私、応募してない。

こんなの自分から応募するわけないじゃん。誰だよ勝手に応募したの。…まさか徹？

｢では、優秀賞のお2人は前へどうぞ！｣

司会の人に言われて、私たちは周りの子たちに無理やり立たされステージまで行かなければならなくなった。

｢ちょっと、これどういうことよ！｣

｢俺も知らないんだって！名前呼ばれたからてっきりAが応募したのかと…｣

え、徹も応募してないってこと？

じゃあ誰が応募したの？

そんな私たちの疑問を察してか、司会の人が私たちに言った。

｢あ、ちなみに今回の応募は男子バレー部の花巻くんと松川くんが勝手に応募してましたー！｣

よし、花巻と松川あとでシバく。

｢まあまあ、優秀賞取れたんだしよかったじゃん？｣

徹はこの状況にすぐ対応できているけど、私はそうはいかない。

普段注目される事なんか無いから恥ずかしくてしょうがないわ！！

そんな私に追い打ちをかけるように、司会者が徹と私にコメントを求めてきた。

｢えーと、今回の事は全然知らなくて最初驚いたんですけど、Aと一緒にこんな素敵な賞を貰えてとても嬉しいです。これからもAと仲良く幸せに過ごすので応援してくださーい！みんな投票ありがとうね！｣

｢さすが及川徹！外見だけでなくコメントまでイケメン！！…さて、次は彼女のAさん！コメントお願いします！｣

マイクを渡され、みんなが静まる中私は緊張しながら口を開いた。

｢…さっき初めて知ったんですけど、優秀賞もらえて嬉しいです。ありがとうございます。でも花巻と松川は後でちゃんとシバきます。｣

そう言うと会場から笑いが起きる中、花巻と松川だけは顔面蒼白になっていた。