6話 ページ8
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「……ん…」
目を開けると、私は英くんに膝枕をされていて英くんは私の頭を撫でていた。
「おはよ。少しは寝れた?」
「うん……なんか、色々とごめんね。」
謝りながら体を起こすと、外はもう日が暮れていた。
火葬場の人にお礼を言って、お母さんとお父さんの遺骨を大事に抱えて2人で家に帰る。
いつも一緒に通っている道なのに、今日だけは違う景色に見えてしまう。
それはきっと、この両手が抱えている両親のせいだろう。
「A、明日は学校どうする?」
「学校には電話で1週間休むって伝えたから大丈夫だよ。……あ、でも部活も休まなきゃいけないな…大丈夫かな?」
「部活の方は心配しないでいいから。俺からもちゃんと言っとくし先輩たちも分かってくれるよ。」
「……ありがとう。」
そこで会話は途切れ、お互い何も話さず無言の時間が続いた。
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……あれ?そういえば私、いつもならこんな時でも笑顔でいられるのに何で英くんと2人の時は素の感情が顔に出てくるんだろう?
そもそも、どうして私は人と一緒にいると笑顔のまま表情が動かなくなるんだろう?
次々と浮かんでくる疑問で頭の中は満たされ、考えれば考える程、自分が何かを忘れているような気がした。
「……A?体調悪い?」
すっかり自分の世界に入っていた私は英くんの声で現実に戻された。
「ううん、大丈夫だよ。少し考え事してただけ。」
「ならいいけど…何かあったらすぐ言いなよ?」
「うん。ありがと…」
とりあえずこの事は考えるのやめよう。別に笑顔のまま表情が動かなくても、周りから気味悪がられるのなんて慣れてるし。
それよりも、これからの事を考えないと。
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りある(プロフ) - 美園さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです!まだお話は始まったばかりなので、今後の展開も楽しみにして頂けたら幸いです(^ ^) (2019年11月11日 7時) (レス) id: 3eeed000d7 (このIDを非表示/違反報告)
美園 - とてもおもしろいです (2019年11月11日 5時) (レス) id: b24611d9b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りある x他1人 | 作成日時:2019年11月9日 12時