8話 ページ11
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「……ん……朝か…」
鳥のさえずりの音で目が覚め、自分が制服のまま眠ってしまったことに気づき、とりあえず部屋着に着替えた。
祭壇に飾られた両親の遺影に「おはよう」と声をかけ、昨日放ったままにしていた荷物の整理をした。
今日は両親の遺産相続や私の今後について役所の人たちが家に来て話し合いをするらしい。
無心で部屋を片付け、お茶の用意をしていると役所の人が来て早速話し合いが始まった。
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結局、お母さんもお父さんも1人っ子で親戚とも疎遠だったし、両親が随分前に用意していたらしい遺言に「遺産は全て娘に渡す」と書いてあった為、私の元に両親の遺産が入ることになった。
まだ未成年という事で孤児院に入る事を強く勧められたけど、思い出の詰まったこの家は絶対に手放したくないから断った。
「突然の事でまだ気持ちの整理も出来てないと思いますが、何か困った事があれば連絡してください。」
「はい。今日はわざわざ来て頂いてありがとうございました!」
そう言って役所の人を見送り、再び1人きりになった部屋を見回した。
どこを探しても両親の姿はない。あるのは骨だけ。
「遺産なんか貰っても嬉しくないよ……そんなのいらないから戻ってきてよ……」
遺影に向かって話しかけても、2人の穏やかな眼差しがあるだけで返事はない。
零れそうになった涙をグッと堪えて、私はこれからの生活の為、アルバイト先を探し始めた。
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りある(プロフ) - 美園さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです!まだお話は始まったばかりなので、今後の展開も楽しみにして頂けたら幸いです(^ ^) (2019年11月11日 7時) (レス) id: 3eeed000d7 (このIDを非表示/違反報告)
美園 - とてもおもしろいです (2019年11月11日 5時) (レス) id: b24611d9b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りある x他1人 | 作成日時:2019年11月9日 12時