花風に乗って散れ。【黒尾鉄朗】

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あの日からもう5年経った。







私は音大を卒業して、今は夢だった作曲家の仕事をしている。







こう見えて、有名なアーティストに曲を書き下ろしたりしてるんだよ？？







彼に負けないぐらい、私も成長したの。








そして彼は自分の可能性を信じて努力を重ね、今じゃすっかり人気のバレー選手になっている。







お互い忙しくて、月に1、2回程しか連絡する暇がないけれどこの5年間、連絡が途絶えたことは1度もない。







そして、あの卒業式の時のことを忘れた日は1日も無かった。








桜の舞う校舎、彼の寂しそうな笑顔、彼の温もり、彼の匂い…今も鮮明に覚えている。









私ね、あなたに会わなくなってから随分変わったんだよ。









髪の毛の色も変わったし、ピアスの穴も空けた。お化粧だってしてるし着る服も変わったの。香水だって付けるようになった。








それでもあなたは、私に気づいてくれるかな。









そんな事を考えながら、私はネット記事に書かれた『黒尾鉄朗選手、日本チームへの入籍決定！』という文字を読んだ。

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