花風に乗って散れ。【黒尾鉄朗】

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あなたへの想いを自覚してから少し経って、私たちの距離はグッと縮まって…それからはお互いがお互いの気持ちに気づいてたよね。







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｢なぁ、お前好きな人とかいんの？｣







｢……どうだと思う？｣






｢何その思わせぶりな答え方〜。｣








こんな会話、よくしてたね。








クラス企画の肝試しでペアになって、怖がる私の手を繋いでゴールまで連れて行ってくれた時








一緒に屋上で夕焼けを見て、どちらからともなく指を絡めて手を繋いだ時







この時にはもうお互い自分の気持ちにも相手の気持ちにも気づいてた。








お互いの気持ちを知ってるなら付き合えばいいって思ったでしょ？









でも私たちはそうしなかった。







彼の彼女になる事で、彼のバレーを邪魔したくなかったから。






今は、あなたの無限に広がる可能性を追いかけて欲しかったから。









そう思っていたのは私だけじゃなかったようで、彼も同じだったみたい。







｢俺は、周りが見えなくなるほど熱中して曲を作るお前が1番好きかな。だから、お前の中に無限に広がってる可能性を追い続けて欲しい。｣









バレーをしている時のような真剣な顔で言ったあの言葉、ずっと覚えてるよ。

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