無題 -stigma- (ページ5)

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お酒も進み、私はいい具合に酔っていた。
(あー、、意識はあるんだけどぼーっとするなぁ......)
「Aくん！飲んでるー？？」
上司が聞く
『はーいだいじょぶです！』
(正直早く帰りたいなー、明日も仕事だし)

テヒョンと席は離れていたのでそこまで会話もすることなく一次会は終わり、二次会へと足を運ぶ。二次会はカラオケで一発目は上司のサザンから始まるのがうちの部署の鉄板だ。
「ねーねー、部長ってサザン好きなの～？」
テヒョンがこのうるさい空間の中で私の耳元へ顔を近づけた
『そうだよ～なんか、ライブも行くみたいで相当好きらしい』

テヒョンも最近若い女子の中で流行っている防弾少年団とかいうグループの歌を歌い始めた。
(へぇ、テヒョンって歌うまい...そういえば私、ソクジンオッパの歌聞いたことないな)
ソクジンオッパとは会社の飲み会では部署が違うため一緒になったことがない。ましてや二人で食事に出てもカラオケという雰囲気にはならない。ソクジンオッパ、歌下手そうだな～。

「へぇ！テヒョンくん歌うまいんだね～」
サザン部長がテヒョンをほめると
「いひひ～ありがとうございます部長！でも部長のサザンには足元にもおよびません！」
「なら俺とサザン歌おうキム・テヒョン！！」
「部長～俺、いとしのエリーしかわかんないですけど大丈夫っすか？！」
部長とデュエットを始めたテヒョン。なんか私よりも会社に溶け込んでるな～と心細くなった。

二次会も締めの時間となり、各自散らばっていく。するとテヒョンがこちらへ近づいてきて
「Aさん」
私を呼ぶから振り返ると彼は言う
「少し、歩かない？」
テヒョンはお酒に強いほうではないのか、ほんのりと火照らせたその顔で私を誘う
『うん、いいよ』

駅前通りから一本横に入ると、人も少なく静かな裏通りが見える。会話はなく、ゆっくりと時が流れるのを感じる。テヒョンとは沈黙もつらくない、心地よい世界となる。

『…あのさっ』
言葉を発したが、急に目の前が暗くなる。突然のことに、酔った私の頭だけ取り残される。私を抱きしめたテヒョンと１５センチほどの身長差を感じ、どきりと心臓が跳ねた。
「ねぇ…ちょっとこのままでいてもいい？」
あぁ、私ってばソクジンオッパがいるのに最悪だ
罪悪感を感じながらも、テヒョンの背中へと腕を回して答えた。しばらくして彼がパッと腕を放すと、春から夏へと変わりつつある風がひゅうっと吹いて

なぜなんだろう、物足りなさを倍増させる。