5話目 ページ6
目が覚めた時には、もう外は暗くなっており、冷たい風が吹いていた。
窓を開けたまま寝てしまっていたので、私の部屋の中は冷たく、ベッドのシーツがひんやりとしている。
『どのくらい寝ていたんだろう……うーん……』
時計を見ると、針は10と6を指している。
午後10:30だ。
『晩御飯、食べなきゃな……』
うとうとしながら食堂へ向かうと、そこには機械技師のトレイシー・レズニックと占い師のイライ・クラーク、それから祭司のフィオナ・ジルマンが居た。
「Aの分の食事はそこに置いてある。
早く食べないと冷たくなってしまうぞ」
どうやらエミリーは治療で忙しいらしく、代わりに今日はフィオナが夕飯を担当していたらしい。
『いただきます』
ミネストローネは少し冷たくなっていたけれど、お肉もお米も、凄く美味しかった。
『ご馳走様でした』
「Aは偉いな。ちゃんといただきますとご馳走様を言うんだな」
男性軍は言ってるのを聞いた事がないぞ……とつぶやくフィオナ。
確かに、男性軍は食事をパパっと済ませてからすぐ試合や訓練に向かうことが多い。
今度言っておこう…
お皿を返したあと、トレイシーに近づく。
『何してるの?』
トレイシーは何やら機械を弄っており、眉間にしわを寄せている。
「うーん…機械人形の調子が悪くてね。自室で作業をするべきなんだろうけど、狭いし危ないしで、広い食堂でやってるんだ。あ、勿論後でちゃんと片付けるよ!」
そうかそうか、それは邪魔をしてはいけない。
そうっと帰ろうとすると、ふと端の方で水晶玉を見つめているイライさんが目に入った。
「あー……変わってないな。よし。」
彼はミステリアスな人で、目隠しをつけているせいか何を考えているのか分からない。
それに、よく占いに集中しているのでいきなり声はかけないようにしている。
邪魔になったら悪いから…………
「ん…?ああ、Aさん。居たんだね。」
彼は私に気付くと、さっと水晶玉をしまった。
やはり彼以外の人間が触ったりすると悪影響があるのかもしれない。
『ええ、でももう寝ます。おやすみなさい。』
私は水晶玉のことには触れずに、静かに部屋に戻った。
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作者名:れあちーず。 | 作成日時:2021年8月29日 15時