狂気なのは【第五人格】 (ページ5)

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4話目ページ5

特にすることもないので部屋に戻ろうと歩いていたら、何やらいい匂いがする。

この匂いは…………

「あら、A。どうしたの？私の部屋の前で棒立ちしてるけど。」

扉を開けて隙間から顔を見せるのは、調香師のウィラ・ナイエル。

彼女はよく部屋で香水を作っているらしく、是非1度調合している様子を見てみたいと思っていたが…もう匂いだけで満足だ。

『いや、いい匂いだなと思って』

素直な感想を述べると、彼女は少し嬉しそうに目を輝かせる。

「そう、ありがとう……！でも、まだ完成してないのよ……最近納得のいく匂いが作れなくて」

『私的にはもう十分素敵な香りだと思うけど、ウィラにとってはまだなんだね。』

「気に入ってくれたなら、納得は行ってないけど、この香水あげるわ。」

そう言ってウィラがくれたのは、小さな小瓶に入ったピンク色の香水。

蓋を開けずとも、既にいい匂いがしている。

『こんな素敵なもの、貰っていいの！？』

自分好みすぎる香りの香水に、思わず気持ちが高ぶった。

「むしろこんなもので喜んでもらえて光栄だわ。
私の理想の香水ができたら、あげるからね。」

お礼を言って、自分の部屋に戻る。

そして香水を蛍光灯にかざしてみた。

ピンク色の香水はキラキラと輝いており、まるで宝石のようだった。

試しに手首につけてみた。

ふわっと優しい香りがする。

これだけだけど、少しお洒落になった気分だ。

しばらく香水を眺めて満足した私は、疲れもあってかすぐに深い眠りについた。