3話目 ページ4
結局あの後すぐ試合に呼ばれ、花を見ることは出来なかった。
まあ、エマが咲いたらくれると言っていたしどうせ後で見られるだろう。
それより今は、試合で疲れたこの身体を休めたい。
同じ試合に出ていたオフェンスのウィリアム・エリスと、傭兵のナワーブ・サベダーは外でで訓練しているようだ。
先程まで動き回っていたというのに、まだ体力があるのか……
気になった私は少し訓練を覗いてみることにした。
『やあ、ナワーブとウィリアム』
「おお!Aが来るなんて珍しいな!」
先に反応したのはウィリアムだ。
ナワーブはというと、訓練に夢中らしい。
「おーい、ナワーブ!Aが来たぞ!」
呼ばなくてもいいのに、という思いは届かず、ナワーブも訓練を中断してこちらに走って来た。
「わりぃ、走りに夢中になっちまってさ…」
『ナワーブはよく走るよね……』
「ああ。まあ、よく走るというより、今は脚を鍛えたいから。」
試合中でもマップ内を駆け回る彼は、どうやらまだ鍛えたりないらしい。
もう十分筋肉はついているし、これ以上どこにつくんだといった感じに見えるが……
『へぇ……』
ウィリアムの筋肉自慢を聞き流しながら、視界に入ったのはサンドバッグ。
『……あれは?』
「ああ、あのサンドバッグは今は使ってないんだ。
俺は脚を鍛えてるし、ウィリアムも最近は脚を鍛えている。」
サンドバッグはホコリを被っており、風が吹くたびにゆらゆら揺れるので、ホコリが散る。
『……掃除しといてくれないかな』
「あのでやっとくな!!」
ウィリアムはそう言ったものの、よく話を聞いていないので多分やらないだろう。
今度掃除するか……
そう誓ったあと、私はナワーブとウィリアムに手を振り訓練所を後にした。
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作者名:れあちーず。 | 作成日時:2021年8月29日 15時