きみが眠る場所 ページ46
桃「さすがにもう着れねーか」
赤黒く染まったつなぎを見て高橋がおもむろに呟く。
人をあやめたということを最も実感するのは、すべて終わって重たくなったつなぎを脱ぐ時だ。
血塗れのつなぎを夕闇に溶かして、なんとかハッチに帰ってくる頃にはとっぷりと日は暮れていた。メインのソファでブランケットにくるまる井上の横で、橋本は何も気にかけず大胆につなぎを脱ぐ。もう隠す気は無いらしい。
怪我をしている高橋を先にシャワーへ遣って、濡れタオルで身体を拭いた橋本がソファの肘掛にそっと腰掛けた。
青「瑞稀」
茶色の塊の端に手を置いて、親指をするすると動かす。
青「ガリさんは?」
赤「ん〜?」
青「まだ帰ってきてない?」
赤「ん…」
井上は寝起きが悪い。
それが本当のことなのか、そういう方が都合がいいのか。
今となってはわからない、と龍斗は思う。
二人の間に流れる空気の暗号の解き方を彼は知らない。
紫「昼頃ふらっと出てったよ」
青「そろそろ帰ってきてるかと思ったけど」
行き先は知っている風で橋本が言う。
井上から手を離して顔を上げた。ブランケットに血が付いていないか確認して立ち上がる。
紫「どこ行ったの?」
青「わかんない」
つかめない人だ。
誰よりも純粋に見えるのに、血まみれになることにもまるで抵抗はなさそうで。
紫「無線、切れてる」
青「うん」
紫「大丈夫?」
青「うん」
紫「…カフェオレ、いれようか」
青「ありがと」
それでいて、とても正直なのだから不思議だ。嘘はつけない。すぐにバレるから、と本人がよく言うように、隠し事なんてひとつもないように見える。あまりにも純粋な〈うん〉と〈ありがとう〉。だからこの人の元に居ると決めたのだ、きっと。
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れわ(プロフ) - 和音♪さん» 和音♪さん初めまして!コメントありがとうございます〜!!!とっても嬉しいです!頑張れます!笑 ありがとうございますこれからもよろしくお願いします! (2019年9月24日 1時) (レス) id: 3180774200 (このIDを非表示/違反報告)
和音♪(プロフ) - こんにちは!いつもこの作品を楽しみにしています!HiHi Jetsのローラーがすごい生きていて、めっちゃ面白いです!これからも楽しみにしています!頑張ってください♪ (2019年9月22日 14時) (レス) id: b5f084be84 (このIDを非表示/違反報告)
れわ(プロフ) - ぽむさん» ぽむさん初めまして!コメントありがとうございます〜嬉しい言葉たくさんで泣きそうです!更新についてのご意見もありがとうございます!せっかくいただいたので、できるだけ更新頻度高めにできるようにしますね!ほんとうにありがとうございます! (2019年9月21日 1時) (レス) id: 3180774200 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - 初めまして、こんばんは。いつも楽しく読ませていただいてます。こういう作品を待っていた!出会いたかったのはこれだ!という気持ちです。個人的には、更新頻度が高い方がいいかなあと思っていますが、れわさんのやりやすいようにして頂くのが1番ですかね。 (2019年9月18日 0時) (レス) id: ef5fa22271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れわ | 作成日時:2019年9月6日 2時