5人の運び屋は箱の中身を当てられるのか？

初手から切り札 ページ14

「ふざけてんじゃねぇぞ！」

もらったんだからどうしようと俺らの勝手なはずなのに。なんかやましいことでもあるんでしょ

涼は慣れた身のこなしで襲いかかってくる敵を去なす。相方が戦いを嫌うおかげで先制攻撃には慣れているのだ。

さっきの2人のうち下っ端の方の安っぽいスーツはたいしたことない。大きさだけが取り柄みたいなナイフをむちゃくちゃに振り回してまるでなってない。これならなにももってなくても余裕で躱せる。あっちのでっぷりのボスはどうせ体術なんてやってないだろうし…人数さえ増えなければこのまま俺だけでなんとでもなるけど

まぁ、そんなわけないんだよなぁ


聞こえてくる足音に内心ため息をつきながら目の前の敵に向かう。視界の端に炎を見つめる井上が映る。本当はこのまま逃げてしまいたいくらいだけれど。

足音が増えた。何人？聞いていればわかる。そうだなぁ、あ、また増えた。15人。


ダボついたつなぎを手繰り寄せ、サイドのポケットを開けて銃を握る。こんなことならもう一丁持って来ればよかった。まぁ言っても仕方ない。身体を起こし、左手にはサバイバルナイフ。向こうの荒々しいナイフさばきにタイミングを合わせて身体を差し込む。手入れだけはきちんとされているらしいでかいナイフが、二の腕の上澄みを綺麗に滑っていった。

「ふはっ！」

アホの子分が嬉しそうな表情で涼を見る。

はい、そのまま幸せそうにさよならできるといいね

左手のサバイバルナイフで二の腕を撫で、血を拭うようにつけたら準備完了だ。だらしなく開いたシャツの裾から臍に銃口を差し込む。

「…じゃあね」

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