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「もう…優太さんどんだけ飲んだんですか」
「そんな飲んでねぇって…」
否定はしてるけど、体は熱いし私が隣にいて支えていないとその場で倒れてしまいそうだ。
「まじ申し訳ない…」
「え？」
「来てもらっちゃって…」
「気にしなくていいって言ったじゃないですか」
30分ほど前、突然優太さんから電話がかかってきた。
「優太さん…？」
「あ、出た！」
明らかに優太さんの声ではなかった。
「あの…」
「ごめんね。俺岸くんの友達。Aちゃんとも同じ大学」
「そうなんですか…これは、えっと…」
相手が優太さんの友達でなんとなく見たことがある人だと分かったけど、意図までは分からなかった。
「いや岸くんがさ今かなり酔っててさ、Aちゃんに会いたいって言ってんの」
「え…？」
驚いて随分と間抜けな声が出てしまった。
けど、会いたいって思ってくれるのは嬉しいことだった。
詳しく話を聞けば、私の声だけでも優太さんに聴かせようと勝手に優太さんの携帯から電話をかけてきたらしい。
「酔ってるって言ってましたけど優太さん大丈夫なんですか？」
なんとなく優太さんに何かあったのではないかと心配になった。
いつだったか、お酒はあまり強くないから酔うほどは飲まないって言っていた。
「俺たちも何があったか分かんないんだけど珍しく飲んでるんだよねぇ…」
珍しく…。
どうやら“なんとなく”は正しいみたい。
そして飲んでいる場所を尋ねると偶然にも私がいる所からそれなりに近いところに優太さんたちもいるということが判明して、私の方からそっちに向かった。
「え！？なんでA？」
優太さんは目を大きく開いて驚くリアクションをとっていた。
事情を聞かされた優太さんは「こいつらのせいでごめんな…」って謝ってきて、
店を出て夜道を歩いている間も何度か同じように謝られた。
「ほんと気にしないでくださいね。行くって決めたのは自分の意志なので」
むしろ優太さんに迷惑だと思われてないかの方が不安だ。
「いやぁ…だって普通逆だろ？俺がAを家まで送るべきじゃん…」
「ふふ。いつも私に優しくしてくれるお礼です」
まぁ、こんなことじゃ全然お返しにならないかもしれないけど。
「俺って優しい…？」
「はい。とっても」
どうしてそんなことを確認するのだろうか。
優太さんはいつだって私に優しいじゃない。
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作者名：來
| 作成日時：2020年12月13日 19時
