145 ページ2
*
ミユのことが好きなのに、
あんなにもAを俺だけのものにしたいと思ったし他のやつに奪われたくなかった。
ずっとAからの愛を受け止めていたかった。
これが何を意味するのかをどうして今まで気づけなかった？気づこうとしなかった？
逃げずにちゃんと向き合っておけばよかった。
ミユのことは本当に好きだった。
けどその想いは自分でも気づかないうちにどこかに消えていて俺の気持ちはAに向いていた。
本当に俺が好きなのはAなんだって気づいた。
けどその気持ちを正確に認識できたのは、今日Aと電話をしている最中のことだった。
彼女に、この関係を終わりにしたいと言われてやっと…やっと気づいた。
本当はもう少し前に、“Aに惹かれてる”って伝えるつもりではいた。
花火大会が終わってから、
素直に、Aへの愛おしいという気持ちが止まらなくなった。
まだ不確かだったけど一度伝えておこうと思っていたのに、それは俺がミユを優先したせいでできなかった。
廉と喧嘩をしたって珍しく泣いているミユを放っておけなかった。
でも結局俺の心が弱かったのが悪い。
どんな理由があったって俺が悪くて、俺はAを傷つけた。
それから連絡が取れなくなってようやく今日、Aと話せると思ったら
かかってきたのは終わり告げる電話だった。
信じたくなかった。Aの言っていること全部。
終わりにしたいって、好きになりたい人がいるって、俺を好きでいることをやめるって。
なんだよそれ。そんなのは聞きたくない。
俺は必死で止めようとした。Aが俺から離れるなんてありえない。許すわけない。
もちろん今まで散々苦しめたっていう自覚はある。
それでも俺はAを離したくなかった。
それで気づいたら言ってたんだ。
「俺だって…Aが好き」って。
本当は直接伝えたかったけど、そんなこと今は気にしていられなかった。
想いを伝えればAは分かってくれると思ったから。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1863人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：來
| 作成日時：2020年12月13日 19時
