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「平野くんが、好きです…」
Aに初めて好きだと言われたとき、
俺のことなんか何も知らないくせになんで好きだと言えるのかが疑問だったし、いい子そうに見えるけど結局この子も俺の外見しか興味ないんだと思った。
第一、俺にはミユという存在がいるからミユ以外の女に好きだと言われても鬱陶しいだけだった。
けれど、2度目の告白をされたときは鬱陶しいなんて思うことはなかった。
ミユのことも、俺の最低な部分も全部教えたってそれでも彼女は俺のことを好きだと言った。
涙を流しながら
一回でいいから抱いてほしいって、初めては俺がいいって、
言われて本当に馬鹿な子だと思った。
けど、それと同時にどうしようもなく温かい気持ちになった。
ミユを好きになってから初めてミユ以外の女に興味を持ったし、
女と体を重ねるとき、あんなに最初から最後まで優しくしてあげたいって思えたのだってAが初めてだった。
心も体も真っ白な子だから、俺が汚してしまったことへの罪悪感はかなりあって
けどそれ以上に俺の心の中に生まれたのは独り占めしたい、これからもずっと俺だけを見ていてほしい好きでいてほしいという独占欲。
今まで好きでもない女といて性的な欲は満たされても精神的に満たされることはなかった。
それがどうしたことか。
Aが俺の下で何度も想いを伝えるからなのか初めて心まで満たされて、
その時にはもう俺にはこの子が必要だと思うようになっていた。
それから何度も何度もAを求めた。
Aはできるだけそれに応えてくれていて、世間一般的に俺と彼女の関係は無機質でどうしようもないものだろうけど俺からしたら彼女は心の支えだったし間違いなく大事な存在で、
ミユを好きでいることに変わりはなかったけど、いつからか自分の感情一つ一つに違和感を覚え、疑問を持つようになっていった。
今になって思うよ。
もっと早く君への気持ちに気づくべきだったって。
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作者名：來
| 作成日時：2020年12月13日 19時
