80でも、悪ぃ ページ30
「……邪魔はするつもりはない、そう言ったけど…」
「？」
しばらく考え込むようにしていた轟くんが口を開いた。
「ただ、羨ましい…そう、少し思っちまった」
「羨ましい…？」
「…爆豪の事が…」
何の話をしているのか、この時はまったく
分からなかった。だけど、すぐにその言葉の意味が
明らかになる。
「お前といつも一緒にいれる爆豪が、
羨ましいって思っちまった…」
「…え…」
微かに鼓動が高鳴った。
なに？その言い方…まるで…まるで轟くんは私の事が…
「だから、お前にキツく当たる爆豪見てて少し
腹が立つ。お前の話をろくに聞きもしねぇで、
話したくても話せないお前に気づかねぇで、
勝手言ってるのもどうかと思う」
「…轟くん…」
「……俺ならそんな事は絶対しねぇのに」
「………っ」
淡々と、そう言葉を続けた。
私をじっと見つめる轟くん。そんな轟くんの
綺麗で真っ直ぐな瞳に吸い込まれるように、目が
離せなくなった。
しばらく沈黙が流れる。
いてもたってもいられなくなって、もう、
気になることすべて聞いてしまおう。
そう思った時だった。
「轟くん…あの…」
「悪ぃA」
「…え？」
「…俺もお前が好きだ」
「……………え……」
思いもしなかった言葉に一瞬、意味が理解できなくて、
ぽかんとしてしまった。
「………轟…くん……？」
「…こんな時に…
言うことじゃねぇかもしれねぇ…でも、悪ぃ」
「………」
息をするのを忘れるくらい、轟くんの言葉に
驚いた。だけど、なんだか頭は冷静で、
轟くんのことを知りたい、何を思ってるのか
知りたい、そう思った。
「…い、いつから…」
「……いつからだろうな…分からねぇ…
だけど、爆豪のやつがAの事、大切に
できねぇなら…」
「………」
「俺がAを大切にしたい…そう…思った…」
「轟くん……」
頭は冷静なのに…なぜか鼓動は高鳴っていて、
真っ先に、勝己の顔が頭に浮かんだ。
そして、お互い黙り込んで、沈黙が流れてしまう
なんで、なんですぐに断れないんだろう。
だって、私は勝己のことが好きで…
勝己のことが好きなのに、こんな時に限って、
勝己の乱暴なところばっか思い浮かんで…
まるで優しい轟くんと比べてるみたいに…
嫌だ…こんなことを考えてしまう自分が嫌いだ
「……悪ぃ、困らせた」
「…っ」
轟くんは立ち上がり、会計の伝票を手に取って
私より先に1人でお店を出た。
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まゆりぽ - 爆豪勝己の初恋２の38ページがめちゃくちゃ良かったです！第３段目、楽しみにしています！ (2022年12月31日 20時) (
レス) @page38 id: 12731aff21 (このIDを非表示/違反報告)
眠 - 何でこんないい作品に出会わなかったのだろう・・・全部見たけど終始ニヤニヤ止まらんかったわ！ (2021年9月26日 15時) (レス) @page36 id: cfd8dfa5f7 (このIDを非表示/違反報告)
シズク(プロフ) - ユイさん» ありがとうございます(´；ω；｀)そう言っていただけて嬉しいです(´；ω；｀)次回も頑張ります(´；ω；｀)b (2018年8月24日 8時) (レス) id: 6007a626ed (このIDを非表示/違反報告)
シズク(プロフ) - 胡瓜さん» 寂しいだなんて…ありがたきお言葉…(´；ω；｀)次回作も頑張りますのでよろしくお願いします！！ (2018年8月24日 8時) (レス) id: 6007a626ed (このIDを非表示/違反報告)
シズク(プロフ) - 涙うさぎさん» この小説でわたしも爆豪大好きなりました。笑(´∀`) (2018年8月24日 8時) (レス) id: 6007a626ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シズク | 作成日時：2018年7月26日 0時
