五月。 ページ6
まだ混乱する頭の中で、逃げなきゃ、その単語だけがクリアーに繰り返される。
その次に出てきたのは怖い、という感情。
いきなり家の鏡が光って、気づいたら目の前に得たいのしれない大きな城と不気味な格好の女の子。
こころの頭を真っ白にするには十分すぎる要素だった。
慌てて振り返ると、鏡が光っている。こころがさっき家で見た鏡と同じように。
今なら、今ならまだ間に合う…！！あそこをくぐれば！
一目散にこころが鏡に向かおうとすると女の子が勢いよくこころのお腹にタックルして掴んでくる。その拍子バランスを崩して床に倒れ込み、こころの口からぐぇ、なんて情けない声が出た。
「にげるな！」
女の子がこころの腰辺りで叫ぶ
「逃げるな！こっちは朝からずっとやってんだ！七人ずーっと面接してきてお前が最後だ！もう四時だし時間もないんだよ！」
「知らないよ！」
声が出た。今まで混乱して口の中がからからで出なかった声がようやく出た。かなり大きな声だったのにこころより明らかに年下の女の子は怯むことなく何なら力を強めてくる。
ずりずりと引きづられるようになっている状況でもこころはまだ抵抗していた。なんだかここでこのままいけば戻るに戻れない状況になりそうで。
夢じゃないのかななんて思うけれど、狼面の女の子に掴まれた腕は温かいし、小さな痛みがあった。
抵抗し続けるこころに女の子はあきれたような、イライラしているような調子で畳み掛ける
「なんだよ、お前気になんないのか？眼の前に城だぞ？こんなに達者に喋る子供だぞ？今から冒険が始まるかもーとか、異世界ファンタジー？とか期待しないのか？子供らしい想像力の一つでもはたらかせてみろ！」
「そんなの知らないよーー！」
どんどんどんどん引きずられていって鉄格子の内部に入り、仰々しい城の無駄に大きな扉が開かれる。
本当にまずい、とこころは抵抗する力を強めるも女の子は毛ほども気にせず進んでいった。
城の中にこころの体が全部入りきって、ゆっくりと扉が閉まる。
「ああっ…！」
こころの悲痛な声と裏腹に女の子は一仕事終わったと言わんばかりに息を吐いた。
「ようやく８人揃ったな。」
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怜(プロフ) - トロイカさん» 本当ですね！？気づくの遅れてすみません…修正しました！ (4月4日 20時) (
レス) id: b646ea4538 (このIDを非表示/違反報告)
トロイカ(プロフ) - 全部で8人では？ (2月14日 21時) (レス) @page11 id: ccf39fbb9a (このIDを非表示/違反報告)
7Tw2ErnmNI22864(プロフ) - ちょうど昨日金ローの録画をみて、こういうの読みたいなあって思ってました！つぎのお話も楽しみにしてます！！🙏🙏 (2月14日 20時) (レス) id: 28c0945122 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜 | 作成日時：2024年2月9日 21時
