五月。 ページ14
どうしよう、と思ってこころが思わずうつむいたとき
「私、A。一応、中三。」
落ち着いた、黒髪ロングの女の子――、Aの声が凛として響いた。
Aは皆を見渡してふ、と息を吐き出し、一瞬何かを考えるような視線をして
「…よろしく」
とだけ付け足した。
皆の、よろしくの声が一拍遅れて起こった。Aはそれ以上言葉を出すことなく、ペコリと小さく会釈しただけだった。
Aの自己紹介で情報を追加しない方向へ戻った。
Aはどうぞ、と隣の眼鏡の女の子に手を差し出した。眼鏡の女の子は少し驚いたような様子を見せたが
「私、フウカ。中二。…よろしく」
ぺこり、と頭を下げたフウカの声はさっき聞いたときはなんだか高くてびっくりしたけど、今もう一度聞けば高い声優声は、一音一音がつやつやとしてきれいで、とてもいい声に聞こえた。
「――マサムネ。中二。」
ゲーム機の男子が誰とも目を合わせずに、早口で言う。
「あ、武将の名前とか刀の名前とか日本酒の名前だとか、聞き飽きてるから。耳にタコでもう聞きたくないから。本名だから。」
彼だけは、よろしくと言わなかった。皆が何か言うべきなのかそれとも何も言わず笑うべきなのか、タイミングを見失ったところで、
マサムネの隣のロン似の男の子――さっきオオカミ様に「帰っていい？」と聞いて怒られた男の子が小さく息を吸って
「名前はスバルだよ。よろしく。中学三年生」
とさらりとそれだけ言った。
不思議な子なんだなぁ、という印象をその子にこころは抱いた。どこか、浮世離れしていると言うか。
「だよ」なんて言う言い方をする人は、こころの知っている男子には一人もいない。
でもスバルはそれをしても許されるような、今まで見たことのない雰囲気があった。
「…ウレシノ…」
続いて、小さな声がした。小太りで、階段のてすりの影に隠れてしまったあの男の子だ。
「え？」
と皆が聞き返すと、その子はもう一度「ウレシノ」とさっきと同じ言葉を呟いた。
「な、名前じゃなくて苗字…なんだけど。珍しい苗字だけど、ウレシノ。よろしく。」
おどおどとした彼の様子に、こころは自分と似た雰囲気を感じ取って好感をもった。
「ねぇ、」
どんな字を書くの？そう聞こうと思って声が出たが聞いていいのかどうか迷って口ごもった。
なんだかそんなことをしたら和を乱してしまう、と思ったから。
でも
「それどんな字書くの？」
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怜(プロフ) - トロイカさん» 本当ですね！？気づくの遅れてすみません…修正しました！ (4月4日 20時) (
レス) id: b646ea4538 (このIDを非表示/違反報告)
トロイカ(プロフ) - 全部で8人では？ (2月14日 21時) (レス) @page11 id: ccf39fbb9a (このIDを非表示/違反報告)
7Tw2ErnmNI22864(プロフ) - ちょうど昨日金ローの録画をみて、こういうの読みたいなあって思ってました！つぎのお話も楽しみにしてます！！🙏🙏 (2月14日 20時) (レス) id: 28c0945122 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜 | 作成日時：2024年2月9日 21時
