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其の四 ページ14

国木田「やれやれ……莫迦だと思っていたが此れ程とは…」

太宰「彼には自_殺愛好家(マニア)の才能があるね。…却説、もういいよAちゃん」
敦「え…?」

溜息を吐く国木田と面白そうに笑う太宰。そんな太宰がAに声をかければ

『えい』

気の抜けた声をAが出し、途端にするん、とAの手首から落ちる縄。

敦「うぇっ!?へ!?え?!」

『…まぁ、此位はね』

驚く敦を置いてなんでも無いというような顔をしながら立ちあがるA。

敦「因みに敦くん、其処危ないよ」

其処、で谷崎を指差すとAは欠伸して体を伸ばす。敦が困惑しながらも谷崎の隣を退けば

ナオミ「あーん!兄様大丈夫でしたか?!」

谷崎「ぐふっ」

まるで弾丸のようにAと同じく人質役であったナオミが勢いよく谷崎に抱きつく。

谷崎「い”っ、痛っ、痛いよナオミ!折れるからッ、!」

敦「…………へ?」

意味がちっとも判らないという表情の敦。

国木田「……恨むなら太宰を恨めよ、小僧。若しくは仕事斡旋人の剪定を間違えた己を恨め。」

太宰「そういう事だよ敦くん。つまり此れは一種の入社試験だね」

敦「入社……試験…」

??「その通りだ」

男の声がして、賑やかだった室内が静まり返る。

『福沢さん。』

敦「…ふくざわさん?」

一番早く声を出したAの言葉を反芻するように敦が呟けば

国木田「社長」

ぺこ、と国木田が長身を折り曲げる。その様子に敦は飛び上がって姿勢を正した。

敦「しゃ、社長ッッ!?」

福沢「其処の太宰めが「有能なる若者が居る」と云う故、その魂の真贋試させてもらった。」

太宰「君を社員に推薦したのだけど如何せん君は区の指定災害猛獣だ。保護すべきか社内でも揉めてねぇ」

『…2時間程度は揉めましたね、ド深夜に。』

ふあ、とまた欠伸をしながら付け足すA

太宰「まぁね。それで社長の一言でこうなったわけ」

国木田「…で、社長、結果は?」

国木田が問いかけると福沢は敦を見て、ふっとほほえみ――

福沢「太宰に一任する」

そう一言告げて部屋を出た。

敦「え、えっと…?」

困惑する敦に太宰は手を差し伸べる

太宰「合格…だってさ。」

敦「つ、つまり…?僕を斡旋する仕事っていうのは…?」

太宰「ふふ、そういう事。―――武装探偵社に、ようこそ、敦くん」

敦の顔が段々と喜色に染まっていく。しかし、それとは裏腹にムスッとした表情で福沢のでていった扉を見つめるA。

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作者名: | 作成日時:2023年11月2日 16時

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