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其の二 ページ12

国木田「会わせたら、殺そうとするに決まっているだろう!其れに!社長は出張中だ!」

国木田の怒声にまたしても考え込む太宰。同時に

??「そ、其処!何をコソコソしているんだ!この女が如何なってもいいって云うのか!?」

男が三人を指さし、声を張り上げてAをぐっと見せつけるように立ち上がらせる。

『…ッく、』

其の拍子に首が軽く締まったのかAが苦しげな声を漏らす。

太宰「!…不味い、先ずは人質を如何にかしないと」

立ちあがる、国木田と太宰。

二人「……!」

――数秒後

国木田「おい、落ち着け少年」

真剣勝負、もといじゃんけんに負けた国木田が立ちあがって男に語りかける。

男「来るなァ…!吹き飛ばすよ!」

男の声に両手を上げ、反抗意志がないことをアピールする国木田。

男「…知ってるぞ、!アンタは国木田だ!アンタもあの嫌味な『能力』とやらを使うんだろう!?妙な素振りを見せたら皆道連れだ!」

男は喚くように云えば操作機を国木田に突きだす。

太宰「…此れは不味いね。探偵社に私怨を持つだけあって社員の名前と顔を調べているみたいだ」

太宰は眉根に寄せたシワを深くする。

太宰「…社員の私が行った所でどうにも…むしろ犯人を刺激してしまうかも知れないね」

其処まで云って太宰はゆっくりと敦を見てにんまりと笑う。

敦「…え”っ」

***
敦「やややややめなさーーい!親御さんが泣いてるよ!」

へっぴり腰の敦がへにゃへにゃと男の前に躍り出る。
一瞬、男は敦の登場に虚を突かれた様な顔を見せたが

男「なっ、なんだアンタ!」

敦「ぼ、ぼぼぼくは通りすがりの新聞配達員ですっ…!あああ、あの、生きていればいいことあるよっ!」

男誰だか知らないが無責任に云うな!皆――皆死ねばいいんだ!!」

髪を振り乱して叫ぶ男に敦が一歩近付く。

敦「僕なんか、孤児で其の上この前孤児院を追い出されて行く宛も、伝手もないんだよ!」

男「え、いや、それは、その」

敦「僕ね、虎に変身しちゃうらしくてぇ、軍警にバレれば多分縛り首だし、別に特技も長所もないから、誰が見ても社会のゴミだけど、こ、こんなぼくでも自棄にならずに生きてる!」

男「あ、え、」

敦の切羽詰まった演技に男はたじろいで数歩下がる。

その数歩の距離を敦が詰める

敦「だっ、だだだからね、爆弾なんか捨てて一緒に仕事探そうよ」

男「いやっ、あのっ、ボクは別にそういうんじゃっ…!」

男が焦りふらついた瞬間

太宰「今だ!」

其の三→←或る、爆弾。其の一



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作者名: | 作成日時:2023年11月2日 16時

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